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傷。 ページ32

ぴたりと轟音が止み、悟さんがこちらへやってくる。

「A、A、おまえふざけんな、俺が、どれだけ、どれだけ…!!」

私の体が悟さんの方へ引き寄せられる。

「ごめん、なさい…」

そばにいた硝子ちゃんが、徐に立ち上がった。

「最低限の手当はした。おら、高専に帰えんぞ。」
「この人達連れて先に車で待ってるよ。」

ずるずると5人の男達が傑さんの手によって引きずられていった。

「…おまえ、マジでなんなんだよ。だから送らせろって言ったんだよ。」
「…ごめん、ね…」

私はただ、謝ることしかできなかった。

「…おまえがいなくなったって知った時、気が狂いそうになった…」

だんだん意識がぼやぼやとしてきて、悟さんが何を言ったのかも、よく分からなかった。

ごめんなさい、その一言を残して私は意識を手放した。










ふわふわと意識が浮上する。

ゆっくりと目を開けると、真っ白な天井が目にうつった。

腕を動かそうと試みたけれど、痛みで到底動かすことなど出来なかった。

「…A?おきた?」

気配で気づいたらしい硝子ちゃんが、ベッド脇から私の顔を覗き込んだ。

「しょう、こちゃん…」
「ん、無理して喋んなくていいよ。」
「だいじょ、ぶ。ここ、どこ…?」
「高専の医務室。」
「…わたし、」
「あのまま倒れて丸2日寝てたんだよ。」
「そう…」
「具合、どう?」
「身体中、痛いけど、耐えられないほどじゃ、ないわ」
「水、飲む?」

かさかさの声で囁く私を見かねて、硝子ちゃんがグラスの水を差し出してくれた。

「体、起こせる?」
「ええ」

硝子ちゃんの手を借りて、ゆっくり、慎重に体を起こす。

あれだけ蹴られたせいか、お腹は特に痛んだ。

コップを受け取り、そっと水を喉に流し込んだ。

ふう、とため息に似た息を漏らす。

すうっと水が身体中に染み渡っていくような気がした。

硝子ちゃんは携帯で誰かと連絡を取っている。

「で、Aの傷の状態の話なんだけど。」
「うん」
「身体中打撲と擦り傷で、当分痛みは続くと思う。でも確実に治るから大丈夫。お腹は特に酷いけど、ゆっくり休んで、出来るだけ負担をかけないようにしなよ。かなり酷かった傷は、反転術式で治したから異常は無いと思うけど。」
「ええ、分かった。ありがとう、硝子ちゃん。」
「それよりも、そろそろあいつが」

あいつ?

誰のことかしら、と首をかしげる。

大丈夫。→←助け。



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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:恋愛
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- まさか…… (2022年8月1日 23時) (レス) @page33 id: eaa9446555 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 甘味!さん» 甘味!さん、いつもコメントありがとうございます。実はですね、あの人夏油さんじゃないんですよ…一個下の黒髪のあの人です。ななみんと同期の…更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2021年7月8日 19時) (レス) id: f9d6daf8b8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - プスメラウィッチさん» ごじょるオチです。ごじょるにしかおちません。 (2021年7月8日 1時) (レス) id: f9d6daf8b8 (このIDを非表示/違反報告)
甘味! - はい!夏油さんだと思いたいですっ(更新楽しみにしてます! (2021年7月7日 20時) (レス) id: f8e0e8f1cf (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年7月1日 4時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年6月20日 0時

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