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恐怖。 ページ30

さみしい。

そんなことを思ってしまう私の心はこんなにも貪欲になってしまったらしい。

そんなことをつらつらと考えていると、バンッとけたたましい音を鳴らして光が差し込んできた。

「おい、起きてんのか?」
「寝てんだろ。」
「お嬢ちゃーん?…あーあ、つまんねーな」

どうすればいいのか分からず、とりあえずそのまま目を瞑っておくことにした。

恐怖で体がカタカタと震える。

はやく、はやく出て行って…!!

ぎゅうっと目を固く閉じた。

「つまんねぇなぁ、帰ろうぜ。」

はやく……!

祈るような気持ちで心の中で叫ぶ。

けれど、もう1人の別の男の声によって絶望のどん底に突き落とされた。

「何やってんだ、確認しろよ。」

びくりと体を震わせた瞬間、ガッと強い力で前髪を掴まれ、引っ張られた。

「ぁうっ…!!」

ヒャハハ、と下品な笑い声が響く。

「起きてんじゃねぇかよ、クソが。」

力任せにお腹を蹴られた。

「ぁぐっ…や…め…」

体が地面に叩きつけられる。

意識も混濁し始めて、もう目すら開けられなくなっていた。

「つーかよぉ、こいつキレーな顔してんのな。」
「おい、顔は傷付けんなよ。売り物になんねーだろうが。」

売り物?私、売られてしまうの?

売り物、という言葉の意味を痛む頭で理解する。

「こんな小娘ひとり、五条悟の婚約者だっていうだけで売れるんだもんなぁ。」
「細かいことはいいんだよ、ほら、行くぞ。」
「おい、逃げたらタダじゃおかねぇからな。そこで大人しくご主人様が決まるのを待ってな。」

さっき私を蹴った男が、ついでのように、もう一回私のお腹を蹴り飛ばした。

「ぐっ…」

もう感覚がない。

痛いという感覚さえ無くなっていたことが、さらに恐怖へ突き落とす。

「で、誰に売る?」
「まだ決まってねぇよ。」

あまりにも怖くて、びくりと身をすくめた瞬間。

バキィッ、ととてつもない爆音が真っ暗な部屋に鳴り響き、一気に光が差し込んだ。

「悟、ドアはもう少し上品に開けな。」
「今五条に何言ったって通じないだろ。」

「誰が、誰に、誰を売るって?」
「ヒィッ!!!」
「誰だ!!!」
「あ?答えるかよ、バーカ。」

何が起こったか分からなかった。

だけど、誰かが助けに来てくれた、それだけは分かった。

「A、どこだー……ひどいな。」
「しょ、こ、ちゃん…?」
「…あまり喋らないほうがいい。ちょっと待ってな。すぐ治すから。」

助け。→←婚約者であるということ。



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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:恋愛
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- まさか…… (2022年8月1日 23時) (レス) @page33 id: eaa9446555 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 甘味!さん» 甘味!さん、いつもコメントありがとうございます。実はですね、あの人夏油さんじゃないんですよ…一個下の黒髪のあの人です。ななみんと同期の…更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2021年7月8日 19時) (レス) id: f9d6daf8b8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - プスメラウィッチさん» ごじょるオチです。ごじょるにしかおちません。 (2021年7月8日 1時) (レス) id: f9d6daf8b8 (このIDを非表示/違反報告)
甘味! - はい!夏油さんだと思いたいですっ(更新楽しみにしてます! (2021年7月7日 20時) (レス) id: f8e0e8f1cf (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年7月1日 4時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年6月20日 0時

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