婚約者であるということ。 ページ29
ここから3、4話くらいの間、暴力的な描写がちょこちょこ入ります。
苦手な方はどうかお気をつけください。
3、4話飛ばしても話の流れはわかるように書くつもりですので、ご安心を。
「…ぅ…」
頭が痛い。
焦点が定まらない。
体も思うように動かせない。
ここは、どこ…?
視線を動かしてみるけれど、見えるのは暗闇ばかり。
わたし、どうしてこんなことに…
ぐるぐるとまわる頭で、何が起こったかをよく思い出そうとした。
ああ、わたし、攫われたんだわ。
自分の状況をはっきりと理解した。
手首と足首は縄で縛られているようだったけれど、なんとか床に這いずるようにしたら、動けないことはなさそうだった。
でも、手首と足首はひどく痛む。
それに寒い。
いつかはこんな日が来るとは思っていたけれど。まさか、今日だなんて。
いつかは、こうなると思っていた。
悟さんの婚約者、許嫁になれば、命を狙われるのも分かっていた。
今、五条家は呪術界の頂点にいると言っても過言ではない。
その五条家の嫡男、次期当主の座にある悟さんの婚約者になりたい、そうなるためには手段を選ばないという家も少なくない。
そういう家が、今現在悟さんの婚約者である私の命を狙い、あわよくば婚約者の座をもぎ取りたいと考えていてもおかしくはない。
そういう家の方々が、なぜ私のような冴えない娘が悟さんの婚約者なのだ、と思っているのは当然のこと。
私だって、なぜ自分が悟さんの婚約者なのか、理解できない。
そして、今まで私が無事だったのは、悟さんや、お父さんやお母さん達が、守っていてくれたから。
それも、分かってたつもりだったのに。
父と母が亡くなった後は、悟さんが守ってくれていたのだろう。
お義父さまが1年と少し前、悟さんと高層タワーマンションで暮らせ、とおっしゃったのも、今回、悟さんが頑なに私を送ると言い張ったのも、悟さんがいないときは、誰かしらが私を後ろから守ってくれていたのも、全部。
私を、守ってくれるためだったのに…
悟さんにとって、私が価値のある人間だとはあまり思えないけれども、少なくとも花咲家の血を継ぎ、術式を継いでいるという点においては価値のあるものなのだろう。
だからこそ、私を守らなければならなかった。
それくらい、花咲家の血と術式に、価値があったから。
それでも、やっぱり。
血と術式だけは、さみしい。
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桜 - まさか…… (2022年8月1日 23時) (レス) @page33 id: eaa9446555 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 甘味!さん» 甘味!さん、いつもコメントありがとうございます。実はですね、あの人夏油さんじゃないんですよ…一個下の黒髪のあの人です。ななみんと同期の…更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2021年7月8日 19時) (レス) id: f9d6daf8b8 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - プスメラウィッチさん» ごじょるオチです。ごじょるにしかおちません。 (2021年7月8日 1時) (レス) id: f9d6daf8b8 (このIDを非表示/違反報告)
甘味! - はい!夏油さんだと思いたいですっ(更新楽しみにしてます! (2021年7月7日 20時) (レス) id: f8e0e8f1cf (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年7月1日 4時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪 | 作成日時:2021年6月20日 0時