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ピエロ。 ページ27

久しぶりにあった硝子ちゃんと話しをしている横で、傑さんと悟さんがこそこそと話していた。

「おい傑邪魔すんなって」
「ん?何のことかな?Aちゃんのことが心配だから送ってくって言えなかったから怒って」
「聞こえるだろアホ!」

硝子ちゃんと10分ほど立ち話をした後、硝子ちゃんは用事があるから、と言って行ってしまった。

「それじゃあ私もそろそろ行くよ。悟、Aちゃんと仲良くしなよ。」
「うっせー、よけーなお世話だよ!」

さっさと歩いて行ってしまった傑さんの背に、悟さんが叫んだ。

「後で覚えてろよ、傑!」
「あの、悟さん。本当にここまでで大丈夫ですから。」
「うっせー。」

ふい、とそっぽを向かれる。

「しん…なんだよ、気づけばか。」
「え?」

ぽそぽそと小さな声で悟さんがつぶやいたので、最初の部分は聞こえなかった。

悟さんはなんて言ったのかしら?

「悟さん、最初、なんておっしゃいました?」
「…なんでもねーよ!」

次の瞬間、ぱしりと手を掴まれた。

「えっ」
「行くぞ」

手が、触れていた。

きゅっと、手の甲を掴まれて、およそ手を繋ぐという行為と呼べるものではないけれど。

それでも、彼の手が、触れていた。

触れたいと思っていたものに、触れている。

ぶわっと想いが溢れ出した。

恥ずかしくて、照れくさくて、でも嬉しくて。

きっと私の顔は真っ赤になっているだろうと思う。

嬉しい。

幸せ。

この瞬間が幸せの骨頂だと思えるほどに、幸せだった。

悟さん、大好きです。

そう心の中で呟いて、彼に置いていかれないように必死で足を動かした。

ふわりと、視界の隅に紺色のセーラー服のスカートがうつった。

この学校の敷地内で、セーラー服を着ている人、ということで真っ先に思い浮かぶのは理子ちゃんだ。

うわついていた心が、ゆっくりと下降してゆく。

理子ちゃん。貴女が、羨ましい。

悟さんは、理子ちゃんに気づいていないようだ。

悟さんは、理子ちゃんが好きで。

理子ちゃんの気持ちはわからないけれども、こんなかっこいい男の子に想われれば、気持ちも傾くかもしれない。

そうなれば、私はピエロね。

想いあっている2人の間を邪魔するピエロ。

愛されることはないと知っていながらもなお、婚約者という立場に縋り付いている。

縋り付かなければ、見向きもしてもらえない。

むなしい。

その感情に胸が満たされ、ぴたりと足が止まった。

拉致。→←涙。



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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:恋愛
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- まさか…… (2022年8月1日 23時) (レス) @page33 id: eaa9446555 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 甘味!さん» 甘味!さん、いつもコメントありがとうございます。実はですね、あの人夏油さんじゃないんですよ…一個下の黒髪のあの人です。ななみんと同期の…更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2021年7月8日 19時) (レス) id: f9d6daf8b8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - プスメラウィッチさん» ごじょるオチです。ごじょるにしかおちません。 (2021年7月8日 1時) (レス) id: f9d6daf8b8 (このIDを非表示/違反報告)
甘味! - はい!夏油さんだと思いたいですっ(更新楽しみにしてます! (2021年7月7日 20時) (レス) id: f8e0e8f1cf (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年7月1日 4時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年6月20日 0時

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