涙。 ページ26
「実は、天元様の同化のことについて、ご相談があるのですが…」
「天元様の同化について?」
「はい。」
ここまで話せばあとは早かった。
自分の術式について包み隠さず話し、理子ちゃんを助けることができるのではないか、というところまで全て話した。
お父さん、お母さん、どうか、許して。
これっきり。これっきりだから。お願い。
先祖代々、ひっそりと目立たぬように生きてきた花咲家の一員である私が、自ら術式について話すなど、許されることではない。
ごめんなさい、お母さん、お父さん。
夜蛾先生に全てを話し終え、上に報告してから検討することになるだろう、と言われた頃にはすでに空は真っ暗だった。
ここからは星がよく見える。
東京の中でも、郊外にあるためか、星がよく瞬いて見えるのだ。
綺麗ね。
そっと視線を星から外す。
ぽつぽつと高専の敷地内を、出口の方向に向かって歩く。
「…A ?おまえ、なんで…」
門が見えてきた時、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「…悟さん」
今日、ここへは悟さんに何も言わずに来たのだ。
だから、あまり私を知っている人とは会いたくなかった。
でも、今私の目の前には悟さん当人がそこにいる。
ああ、悟さんにだけは会ってはいけなかったのに。
「なんでお前がここにいんの。」
「えっと…前回ここに来た時、忘れ物をしたので、その…取りに来たんです。」
「…ふーん…それだけかよ」
まるで興味がないと言わんばかりに流される。
そうよね。実際、悟さんが好きなのは、私じゃ、ないもの。
改めて思い知らされると、また胸がきゅうっと痛くなる。
胸が痛くて、涙が出そうだった。
悟さんの前で涙を流すわけにはいかない。
「あの、悟さん、私そろそろ帰ります。」
「……送ってく。」
「いえ、タクシーを呼んでありますし、大丈夫…」
「タクシー待ってる時間どうすんだよ」
「タクシーを待つ時間くらい、大丈夫です。」
「だーかーらー!送ってくって言ってんだろ!」
あまりの悟さんの勢いに圧倒されていると、ひょいと私の後ろから声が聞こえた。
「悟、そんなきつく言ったらAちゃんに嫌われてしまうよ。」
「はは、もう嫌われてんだろ。」
「硝子ちゃん、傑さん!」
「A、久しぶりだな」
「ねー、久しぶりよね」
ネタがつきてきたので、この人とこの人を絡ませてほしい!とコメントで言っていただければ、書こうと思っております。気分が向いた時にでも、してくだされば嬉しいです!
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桜 - まさか…… (2022年8月1日 23時) (レス) @page33 id: eaa9446555 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 甘味!さん» 甘味!さん、いつもコメントありがとうございます。実はですね、あの人夏油さんじゃないんですよ…一個下の黒髪のあの人です。ななみんと同期の…更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2021年7月8日 19時) (レス) id: f9d6daf8b8 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - プスメラウィッチさん» ごじょるオチです。ごじょるにしかおちません。 (2021年7月8日 1時) (レス) id: f9d6daf8b8 (このIDを非表示/違反報告)
甘味! - はい!夏油さんだと思いたいですっ(更新楽しみにしてます! (2021年7月7日 20時) (レス) id: f8e0e8f1cf (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年7月1日 4時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪 | 作成日時:2021年6月20日 0時