死の理由。 ページ19
ドアの側にいたのは、口元に傷がある大柄の男性だった。
その男性は、私をじろりと見て、にやりと笑う。
「あの…初めまして。Aと申します。」
「あー、伏黒だ」
「…伏黒さん?」
その苗字は、先日仲良くなった女性と同じだった。
「あの、もしかして奥様いらっしゃいます?」
「…なんで知ってんだ」
「あと、お子様も2人?」
「…ああ」
「津美紀ちゃんと、恵くん?」
「もしかしてお前、嫁さん助けたガキか?」
「やっぱり!はい、そうです。伏黒さんと仲良くなって…凄い偶然ですね。」
「あー、嫁がお前のことすげぇ話してくんだよ。まあ嫁っつっても俺が婿入りしたんだけどよ。」
「それもお聞きしました。」
「どこまで話してんだ」
はあ、と呆れたようにため息をつく彼の横で、傑さん達は何が何だかわからない、という顔で私たちを見つめていた。
だから、硝子ちゃんと傑さんに、一部始終を説明する。
この事を前から知っている悟さんはなぜか、顔を顰めていたけれど。
「もしかしてお前、あのガキの婚約者?」
「ええ、そうですけど…」
「良いこと教えてやるよ。俺あいつに雇われてんだけどよ、なんでか分かるか?」
「いえ、わかりません」
「くくくっ、あのガキな、お前の両親が死んだ理由を」
「おいじじい!」
「あ?まだじじいじゃねぇよガキ。」
…私の両親が死んだ理由?呪霊に襲われたからではないの?
報告によると、父と母は特級相当の呪霊に襲われて亡くなったことになっている。
でも。
よく考えてみれば、おかしい。
呪術師だった母が、呪霊の気配に気づかないわけがない。
父も、呪霊の気配は知っているはず。
ならば、なぜ。
しかも、母の、花咲家の術式は…
ぐるぐる考えていたら、頭が混乱してきた。
帰ろう。
一回帰って落ち着いた方がいい。
悟さんと伏黒さんの言い争いを傑さんが止めているのを横目に、ふう、と息を吐いた。
「悟さん、私、そろそろお暇します。」
「送ってこうか?」
「ううん、大丈夫、ありがとう硝子ちゃん」
「また来てねAちゃん」
「A、顔色悪いね。大丈夫?」
「うん、大丈夫よ」
若干ふらふらしながらも、教室を出る。
ぐるぐる回る頭で、必死に考える。
どうして、父と母は死んでしまったのか。
なんで。どうして。
誰も答えをくれるはずがないのに、そればかりが脳内を占めていった。
主人公ちゃんは術師ではないので等級はないです。だけど術式はあります。
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桜 - まさか…… (2022年8月1日 23時) (レス) @page33 id: eaa9446555 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 甘味!さん» 甘味!さん、いつもコメントありがとうございます。実はですね、あの人夏油さんじゃないんですよ…一個下の黒髪のあの人です。ななみんと同期の…更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2021年7月8日 19時) (レス) id: f9d6daf8b8 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - プスメラウィッチさん» ごじょるオチです。ごじょるにしかおちません。 (2021年7月8日 1時) (レス) id: f9d6daf8b8 (このIDを非表示/違反報告)
甘味! - はい!夏油さんだと思いたいですっ(更新楽しみにしてます! (2021年7月7日 20時) (レス) id: f8e0e8f1cf (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年7月1日 4時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪 | 作成日時:2021年6月20日 0時