第88話 ページ41
＿次の日＿
いつも通りのパトロール。
一つだけ違う事。それは…
「足部2倍」
個性"倍返し"を足に使っている事。
いやー!ボクの頭が硬かった!
決してこの個性は手だけじゃないんだよね使い道、
走るってより跳ねるって感じ。
でもまだ声に出さなきゃ感覚が掴めない。
事務所に戻るとホークスが話しかけてきた。
「おっ、速くなったじゃん」
「ホークスのおかげですよ〜」
「そう?なら良かった」
ボクはスーパーで買った常闇の好物のりんごが入った袋を持って立ち上がる。
「んじゃ、常闇のとこ行ってきますね」
「行ってらっしゃーい」
·
病室に到着し、ノックをする。
「常闇ー。ボクだよ、ボクボクー」
「入れ姿見。あとオレオレ詐欺みたいにするでない」
「ごめんごめん。あと、りんご!買ってきたよー。
食べたいー?」
「ぐ…!?それは…っ、紅き果実…!!」
「そうそう。紅き果実ですよ。切ったげるー」
ボクはそう言ってベッド横の椅子に座りりんごを切り出す。
「すまない。迷惑をかけたな」
「いやいやー、あれはさすがに誰でも引っかかるって。
やっぱボクは純粋無垢なか弱いか弱い女の子だから撃たれなかっただけだし。気にする事ないよ」
「……純す…か弱…?」
「そこに引っかかるな」
茎を取り終えビニール袋に捨てる。
「…姿見は入試1位。
そして怪我が完璧に治っていないにも関わらず体育祭3位。差が縮まる事はない。
それに、姿見はこの職場体験で何も教えられなくとも己の力に変えられている。
それが差の縮まらぬ理由なのかもな」
「そうかなー?ボクは常闇羨ましいけど」
「謙遜しなくていいぞ」
「いや、謙遜してるわけじゃなくてさ、常闇はホークスに選ばれたわけじゃん?ボクからしたらそれ羨ましい」
「選ばれた…とは」
「職場体験指名だよ。ボク指名されてないからめっちゃ羨ま」
その瞬間、常闇がポカーンとする。
常闇の間抜け面とかなかなか見られないからボクってばラッキーガール。
「いや…指名されなかったら…今頃姿見はここに居ないだろ」
「だからボク直談判したんだよねー、ホークスに」
「……………は?」
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作者名：ある x他1人 | 作成日時：2020年2月27日 21時
