第82話 ページ35
あれ…
これ職場体験という名のヒーロー体験じゃなかったっけ…
後処理体験になってね…?
※ヒーロー自体の体験とは断じて言われていません
歩きながらでも人助けをしてしまうホークスに一日目はボクも常闇も一切手が出せなかった。
要するに今回は体力作りをひたすらしたってだけ。
こんなんだめだわ!!!学校でも出来るし!!!
これ己で学びを見つけ出せってやつ?
体育祭3位程度じゃ功績残さなきゃ育成対象にはならないってか?
くっそぉぉぉ!!!
まあね、後進育成する気がなければする気にさせればいい話。
福岡まで体験来て何も掴まず後処理体験だけだなんて絶っっっ対にボクが許さなぁぁぁい!!!
という強い思いを持って臨んだ次の日。
「ダァァァッ!!!どうぞッ」
いきなり猛スピードでスライディングしながらおばあさんの落し物を拾ったボクに驚きながらも、にっこりと笑ってくれる。
「ありがとうね。新人ヒーローさん」
「いえいえ!何度落としてもボクがいつでも拾いに行きますから!!」
ボクが満面の笑みでそう言うと、おばあさんは笑いながら「そしたら頼むよ」と、笑う。
「お〜、俺の事思いっきり突き飛ばして助けに行ったけどターミラやるじゃん」
「ここまで落し物を本気で取りに行こうとしたのは初めてです」
「俺もここまで本気で落し物を取りに行った人を見るの初めて」
そんな会話をして歩くと後ろにいたサイドキックに話しかけられる。
「すごかよ君!ホークスより早う人助けするなんて気張っとーね」
「えへへ〜そっすか?」
2日目の今日はこの1回しか間に合わなかったが結構ギリギリまで行けた訳で。
「ひえええ…昨日の倍疲れたぁぁ…」
「常に聴覚と視覚をフルパワーで使い数分ごとに全力で走りながらスライディングしてたらそりゃあ疲れるだろうな…」
と哀れな目で常闇が見る。
哀れな目で見ないでぇ!と言いたいが、もはやその元気すらもない。
今日の体力の使いようは強豪運動部ですか…?
レベルだよ本当に。
いやそれ以上か。
ピロロン
ボクと常闇の携帯が同時に鳴った。
「んー?同時とかなにげに凄くない?」
「世にいう奇跡」
と言いつつも携帯を開く。
それは緑谷からの位置情報だった。
何これ。保須市?
保須と言えば…ヒーロー殺し?
まあ考えても無駄だわ通報ーっと。
「どう返信した?」
「警察に通報した」
「…返信ではなくないか」
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作者名：ある x他1人 | 作成日時：2020年2月27日 21時
