第66話 ページ19
「るっさい。ったたた…」
「……てめぇ、その状態で戦ってたんか」
「校長のとこまで行ってギリギリ出させてもらえたの。
もー、常闇め」
「…まさかてめぇ…常闇の時に悪化したんじゃ…」
爆豪の眉毛がピクピクと動く。
「てへぺろ」
「じゃあ俺との時は常闇ん時より弱ってたんじゃねぇか!!」
そうブチ切れながら爆豪は手から爆破を出す。
あぶねぇやめろ。
「いやー、だって出場数が多ければ多いほど色んな人に見てもらえるじゃん?
まあ、確かにアンタの宣戦布告で出なきゃ〜ってのはあったけどさーぁ」
「じゃあ最後の早技はなんだてめぇ…」
「出場数が多くても魅力がないんじゃ意味ないし。
見せ場ってやつよ、見ーせー場」
爆豪は見るからにイライラとした様子で背中を向ける。
「次!!次戦う時そんな調子じゃ叩き潰すかんな!!!」
「はいはい。そんじゃ次頑張れよ〜」
「わーっとるわ!!!」
こんな爆豪だが、ボクは知ってる。
戦ってる時、USJで怪我した右手・右足はあまり攻めずに戦ってくれてた事。
「なんだかんだで優しいじゃん」
そんな呟きは、きっとあの大きな背中には聞こえていない。
·
爆豪side
『なんだかんだで優しいじゃん』
聞こえてないとでも思っているのだろうかアイツは。
少しだが聞こえている普通に。
「………いってぇ」
上半身のジャージを脱ぎ、控え室の鏡で背中を見る。
するとくっきりと足の形が赤くついてしまっているのだ。
これは確か、鏡女が俺の背中を押さえ込んできやがった時の。
…普通の女の力じゃこんな痕つかねぇだろ。
それにギリギリで出場できたっつーのにそれ以上の怪我を負って俺と戦って、それなのに"互角"だった。
あの状態で互角じゃ…完璧の状態じゃ…。
「くそ…っ」
入試1位と2位の差。
これは数字では表せない大きな何かがあるのだと、
悔しくも実感したのだった。
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作者名：ある x他1人 | 作成日時：2020年2月27日 21時
