第222話 ページ25
·
俺は小走りで生徒寮へと向かいドアを開けた
すると案の定ズーンという効果音の似合う重苦しげな生徒の姿があった
「…先生」
いつもうるさい上鳴が信じられないほどに静かにそう呼んだ
「とりあえず全員部屋に戻れ」
そう言うとぞろぞろと部屋に戻っていく
「何があった?」なんて聞くのは簡単だが、何があったか自ら説明できるほどの精神状態ではない、という事は見てわかる
なんて思っていた時、芦戸が戻ってきた
「私に説明させてください」
そう言った芦戸は提案を断るだなんて事できないような、そんな決意した表情をしていた
·
「そうだったか」
芦戸の話の内容をまとめると、これまでたまってたものが爆発し言いたい事をぶちまけたという事らしい
とてつもなく険悪な雰囲気だったと言う
まあ当たり前か
今までクラスのムードメーカーだった姿見のストレスが爆発したのだ
クラスメイト達が驚くのも無理ない
「教えてくれてありがとう、助かった
あいつも色々あんだ。本人でさえよく整理できてない
でもその色々はあいつの意思でなければ教える事はできん。そのくらい個人的な問題だ
だからこそ俺は一人で落ち着いて整理する時間を休学という名で設けた。何があったかを理解して次に進んでいく。そんな時間があいつには必要だ」
そう言うと足度は目をしっかりと合わせてから口を開いた
「私、これでもAの友達だと思ってるんでAが逆にストレスになるなら余計な事はしたくないと思ってます
でも正直自分で動いてどうにかしてあげたい
だけどそれができないからこそ、一つだけ聞いていいですか?」
「なんだ」
「先生、Aの事どう思ってるんですか」
そう問いかけられた時、咄嗟に答えが浮かばなかった
「どうって…生徒としてでしかない」
「でも先生、インターンが終わってからAが笑ってるとこ見るとすっごい辛そうですよ」
「そりゃあんな笑い方してたら気にかける」
「違くて…そんなんじゃなくて!なんか、先生自身Aがいなきゃダメな気がするっていうか…それはまた逆も然りっていうか…
上手く言えないけど、お互いにお互いが必要だと思うんです」
必死に言葉にしようとしている芦戸に「そうか」と声をかけ寮へと戻る
確かに俺はあいつに救われてきた
今までも、もちろん今も
ただ、俺があいつの救いになれてるかがわからない
救いになりたいのに、あいつはそれを求めない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ある(プロフ) - なつみさん» ありがとうございます！頑張って作り込んでます！！笑 (6月12日 0時) (
レス) id: 5248a7b457 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - めちゃくちゃ作り込まれていて面白いです。更新頑張ってください!!!!!応援してます!!!!! (2022年4月14日 21時) (レス) @page45 id: 42847795b4 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 猫さん» とっっても嬉しいです！！応援よろしくお願いします^ ^ (2021年12月27日 11時) (レス) id: 24dd2edea5 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 凄く面白かったです！応援してます！！ (2021年12月8日 22時) (レス) @page46 id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
ある(プロフ) - おちゃきちさん» ありがとうございます!! 自分でもいつ終わるのかわかんないです!笑 これからも応援よろしくお願いします! (2021年10月15日 1時) (レス) id: 24dd2edea5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ある x他1人 | 作成日時：2021年1月26日 18時
