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episode.53 ページ6

チーン♪

家庭科室に充満する甘い香り。

智洋はオーブンレンジを開け、トレーに並べられた色とりどりの小さな丸を、満足げに眺める。



『神ちゃんの、めっちゃ綺麗やな〜!』

『ほんまやあ、私の少し潰れてしもた…』

神「そないなこと、ないよ
  みんなのも綺麗やと思うし…」

『神ちゃん優しいなあ』

『あんたの少しやなくて、ぺっちゃんこやのにな…』

相「なになに?!うわっ!神山くん!
  めちゃくちゃ綺麗じゃん!!!
  ちょ、リーダー!見て見て!!」

神「あ、相葉さん、ちょ、」

大「わぁ〜〜、ほんと、綺麗にできてる
  俺ら教えること、ないんじゃねーの」



智洋が所属しているスイーツ部は、たまに外部の講師を呼んで基礎から応用まで教えてもらう機会を設けている。

顧問の先生があまり顔を出せない代わりに、活動費を援助してくれているため、中学校の部活動にしてはかなり充実した活動内容だ。

今日は久しぶりに東京から講師を招き、難易度高めのマカロンを作っているらしい。

講師の大野、相葉は会話こそ中学生と変わらないが、日本上位の腕前を誇る。



相「ほんとほんと!!器用なんだね〜」

神「あ、相葉さん、こないだの秋スイーツ大会?
  みたいなんで、日本一になってましたよね…」



「そうなのー!よく知っててくれたね、嬉しい!」と言い素直に喜ぶ相葉を見て、智洋は少しホッとする。

講師2人に褒められたことで、ほんのり熱くなった自分の頬をさりげなく触り、気持ちを落ち着かせた。

無理に謙遜することなく、かつ相手にとってポジティブな話題で話の流れを変える、智洋の優しさが生み出した技術だろう。



相「まあ、リーダーには敵わないけどね〜
  去年の冬にフランスの大会で3位だったし」

神「えっ、すごい…!」

大「たまたまね、たまたまよ」



そうは言うが嬉しさが隠しきれないのか、少し口角が上がっている大野。

よっこいしょ、とゆっくり立ち上がると、キラキラした眼差しで見つめる智洋の頭を軽く撫で、部員たちに声をかける。



大「そいじゃ、焼き上がったマカロンが冷めてるの
  確認できたら、ガナッシュ挟んでいこ〜」



大野のユルいかけ声に元気よく返事し、ルンルンとガナッシュを挟んでいく智洋。

目の前にはフランボワーズ、オレンジ、レモン、ピスタチオ、ブルーベリー、カシス、ストロベリー、チョコレート。

食べてほしい人たちの笑顔を思い浮かべながら、丁寧に仕上げ作業に取りかかった。

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ぽぽ(プロフ) - ゆいさん» ゆいさん、コメントありがとうございます◯*。初めてコメントいただき感無量です…!これから少しずつ気持ちの変化も書きたいな、と思っているので気長に待っていただけると嬉しいです♪なにせ、のぞむくんまだ小学生なので…笑 (2021年10月2日 13時) (レス) id: 37c0aa486b (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 青桃の気配を感じ取ってニヤニヤしてしまいました☺️しかしお互いに自覚がなさそうなのでここから先どうなるのかソワソワドキドキです。更新楽しみにしています。 (2021年10月1日 20時) (レス) id: 127582e3c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽぽ | 作成日時:2020年12月27日 16時

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