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episode.52 ページ5

『りゅうせー!』

『望くん!来たで〜!』



サッカー部の部室でスパイクの紐を結んでいた流星に、同級生からの声が飛ぶ。

望は虹彩小学校のサッカークラブがある金曜日以外、虹彩中学校のサッカー部の練習に混ぜてもらっている。

最初こそ興味本位でお願いしたのだが、流星はひとつ返事で「ええんちゃう?」と返した。

先輩の許可が取れるか否か、までは考えず、" 望とサッカーができる " という事実だけを考えて。

幸いにも流星はマイペースながら人付き合いが上手く、先輩たちとの関係が良好だったこともあり、快く受け入れられた。



望「りゅーせー!はよ!」

流「望〜、今日もがんばろな」

望「おん!今日は何するん?」

流「もうすぐ試合近いから、基礎練の後は
  AチームとBチームで試合形式で練習やな
  さすがに望入られへんから、自主練しときや」

望「むぅ…分かった」

流「ん、ええ子」

望「んも!子供扱いせんといてやあ」



微笑ましいやり取りは、部長から発せられる集合の掛け声で一旦中断。

アップや基礎練の後、試合形式の練習になると、望はフィールド外に出て、グラウンドを囲むフェンス前に座る。

流星は部員が多いこの部活で、1年生ながらAチームでグラウンドを走り回っている。



『藤井くんかっこええな〜…』

『流星くん、今彼女おるんやろか』

『あんだけ走ってもあの顔面て、やばいよな』



ぼーっと試合を見ていた望の後ろ、フェンス越しから女子生徒たちの色めきたった呟きが聞こえる。

あの顔面偏差値とスポーツ(しかも1軍)が掛け合わさると、向かう所敵なし、という具合だろうか。

望はそんな呟きを背に、" 流星はイケメンでサッカー上手い、以外の良いところがいっぱいあるんにな " と少しモヤッとしていた。

そして、このようなことを思うのは初めてではない。

長年一緒にいる信頼関係からか、頻繁に思うことはあったが、だからといって女の子たちに不満を持つところまではいかず。

むしろ、そんな内面の良さを知っている優越感に浸っているところもあるのだろう。






スパンッ………






目の前でゴールを決める流星を見て、「よっしゃ!」と小さく呟くと、こちらを見た流星と目が合う。

口の片端を上げて望に笑いかける流星、同性であっても少しドキッとしてしまうのは致し方ない。

そんな自分の後ろで黄色い悲鳴をあげる女子生徒たちに気づき、なんとなく、またモヤッとした秋の放課後。

もうじき日が暮れようとしていた。

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ぽぽ(プロフ) - ゆいさん» ゆいさん、コメントありがとうございます◯*。初めてコメントいただき感無量です…!これから少しずつ気持ちの変化も書きたいな、と思っているので気長に待っていただけると嬉しいです♪なにせ、のぞむくんまだ小学生なので…笑 (2021年10月2日 13時) (レス) id: 37c0aa486b (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 青桃の気配を感じ取ってニヤニヤしてしまいました☺️しかしお互いに自覚がなさそうなのでここから先どうなるのかソワソワドキドキです。更新楽しみにしています。 (2021年10月1日 20時) (レス) id: 127582e3c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽぽ | 作成日時:2020年12月27日 16時

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