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episode.8 ページ9

幼稚園の帰りの時間。



『せんせー、さよーならー!!!』



園児たちの元気な声が夕日に照らされた園内に響く。

言い終わると同時に、ものすごい勢いで廊下を走り抜ける影が1つ。



『大毅くっ…!!……もういないし…』



智洋(と流星)の元に全速力で向かう大毅だった。



重「かみちゃぁぁん!と、りゅうせ!」

神「あっ、しげ〜…また、うるさいな」

重「はっ…かみちゃ…きらいになった…?」

神「?うるさいなておもったから、いっただけやで」

重「よかったあ〜…かみちゃんにきらわれたら、
  おれ、たぶんしんでまう!むりやあ…」



『大毅くんめちゃくちゃ重いこと言ってない?』

『ともくんまたキョトンとしてるし…』

『来年大毅くん小学校にあがるのに、
 どうするのかしらね、ともくんいないけど』



延長保育で残る園児は少なく、先生たちも少し肩の力が抜けるこの時間、毎回大毅と智洋のやり取りを密かに楽しみにしている。



重「あり?りゅーせーは?」

神「のんちゃんのとこ、いったで」

重「またか!あいつはやいよなあ」

神「のんちゃんのこと、かわいがっとるもんなあ」

重「かわいさなら、かみちゃんのほうが!」

神「しげのおとーとやろ、のんちゃん
  はよ、ぼくたちもいこ、のんちゃんまってる」



スタスタと保育園に向かって歩く智洋の後ろを、待って〜!と慌てて大毅が追いかけていく。

自分の弟である望のことは勿論可愛がっているが、智洋を前にするとどうしても、智洋にばかり注意がいってしまうようだ。

その反面、流星は智洋を守る気持ちはあるが生まれ月では智洋の方が少しお兄さんで。

だからこそ、自分よりも年下である望のことを、本当の弟のように想っているところがある。

流星がフライングして、望のところへ行くのもまた、よくあることであった。

流星は男前な顔に加えて、性格も男前なところがあるらしい。

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作者名:ぽぽ | 作成日時:2020年11月30日 1時

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