episode.46 ページ48
淳「莉子ちゃん」
莉「わっ！びっくりした！」
淳「え、ごめん」
莉「今日もご機嫌麗しゅうございます…」
淳「なんやねん、それ」
春休み最終日、フラッと七ツ屋に立ち寄ったのは、淳太。
莉「どしたん？…福田さんが毎日作ってる料理で
舌が肥えてる淳太くんが来るとビビるわ」
淳「なんでやねん、七ツ屋のごはんおいしいやん」
莉「はぁぁ〜〜…敵わんわ〜」
淳「ちょ、なんの話？」
莉「こっちの話
で、今日は何買われますー？
オススメは肉じゃがコロッケ、揚げたてやで」
淳「じゃあそれ、2つ…」
莉「てか、こんなコソコソ買いに来んでも
毎回思うんやけどさ、みんな気にしんって」
淳「ええの！…恥ずかしいやんか」
莉「みんなが食べてる料理、食べたいなんてね
ほんまかわええわ〜、発想が乙女」
淳「莉子ちゃん、俺のことなめてる…」
莉「ちゃう、尊敬してるんやで」
��その、奥ゆかしさを��と心の中で莉子は思う。
自分にはないものを持っている人には、男女問わず憧れや羨望を抱いてしまうのは、人の性だろう。
莉「私そろそろ交代やし、お話ししいひん？」
淳「ええな、じゃあ2つのうち1つは莉子ちゃんに…」
莉「もぉ、真面目
遠藤さんにあげるつもりやったんやろ？
私はこっそりパクるから大丈夫」
淳「……ええんやろか、それ」
少し不安げな表情を浮かべながらも、莉子が出てくるのを待つ。
2人でコロッケを持ちながら、公園まで歩く。
白く塗られたベンチに腰かけ、「とりあえず、食べてもええ？」と言う淳太にクスクス笑いながら莉子が「どうぞ」と答える。
淳「うわあ、うまいな」
莉「ふふっ、おおきに」
淳「莉子ちゃん、お話って、なんかあった？」
莉「んー、別に何かあったわけとちゃうけど…
恋バナでもしよかなーおもて」
淳「ぶ…っ！…けほっ、こいばなぁ？」
莉「うわあ、汚い、御曹司あるまじき行為」
コロッケを吹き出した淳太を見て、ケラケラ笑う。
莉「淳太くんはさー、好きな人おらんの？」
淳「あっ、もう始まってるのね…
うーん、おらんなぁ…あんま考えたことない」
莉「うへぇー、もったいなぁ
そんな美貌を持ってして…宝の持ち腐れや」
淳「使い方間違っとる気がするけど…
莉子ちゃんは？おるん？」
莉「うーん、多分な」
淳「多分ってなんやねん」
ふはっ、と優しげに笑う淳太を見て、再度莉子が口を開く。
莉「でも多分、無理やな」
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作者名：ぽぽ | 作成日時：2020年11月30日 1時
