episode.35 ページ37
照「はぁー、食ったぁ！」
お腹が満たされてきた頃。
智洋が「あんな、あっくん」と照史に話しかける。
照「どしたんモンチ〜
あ、さすがにもうお腹いっぱいになったで！」
神「えっとぉ、ごはんの話じゃなくてな、
あっくんに渡したいものがあんねん」
流「とも、これ」
神「あ、りゅうせーありがと…
あっくん、これ、俺と流星から」
流「卒業おめでとうのプレゼント」
神＆流「あと、いつもありがとう」
先日買ったオレンジのリングノートを渡す。
包装紙には、智洋と流星の字で『おめでとう、ありがとう、大好き』と書かれている。
照「えっ…開けてもええ？
……うわあ、綺麗なノート…」
神「流星がノート選んでくれてん」
流「ともがオレンジを選んだんやで
『あっくんは、太陽みたいやから』って」
少し恥ずかしそうに智洋がはにかむ。
小さな声で「なんて可愛い…綺麗な心の持ち主なんや…」と呟いた大毅は、淳太に肘でどつかれていた。
照「ぅう…っ、ほんまに…ありがとぉ…
むっちゃ嬉しい、大好きで自慢の弟達やあ…」
重「あー、また泣いてもうてるやん！」
望「なきむしあきとやー！」
崇「照史〜、ティッシュ使うか〜？」
照「はまぢゃ…ありがどぉ…っ」
涙やら鼻水やら、溢れ出た一部汚いものを綺麗に拭いた後、照史は思いっきり智洋と流星を抱き締めた。
弟達は少し照れくさそうに、だがしかし幸せそうな顔で抱き締められている。
血の繋がりの有無など感じさせない、『家族』が確かにそこに存在していた。
なんだかいい雰囲気になったところで、そろそろお開きか、となり片付けをしていた最中。
淳「照史、」
照「ん？淳太くん、何？」
そう言って照史にスッと何かを差し出す。
照「これ…色鉛筆……？」
淳「おん、じいちゃんが小さい時くれたんやけど、
俺絵とか書かんし、家に眠っててん」
照「なんか、高級そうな…色鉛筆…ええの…？」
淳「俺があげたいんやから、ええやんか
色鉛筆も使ってくれる人に貰われた方が
嬉しいやろ、本望やと思うで」
照「あ、ありがとう…一生大事にする…」
淳「それ、一生使わないパターンやん」
ふふふっと笑う淳太に、「使う使う！！使うけど、とっても大事に使うんや！」と慌てて付け足す照史。
淳太が片付けに戻った後、照史は色鉛筆をきゅっと抱き締めた。
��宝物にする��
そう、心の中で思いながら。
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作者名：ぽぽ | 作成日時：2020年11月30日 1時
