episode.25 ページ27
崇「じゅーんたぁっ」
放課後、チャイムが鳴ると同時に淳太の教室へ元気よく来た崇裕。
黒板を消していた淳太がパッと振り向く。
淳太のクラスメイトはみんな帰ったらしく、教室には淳太だけ。
淳「�陲舛磴鵝弔舛腓辰函�待ってな」
崇「おん、あ！この花、カーネーションやんか
黄色のカーネーションって、珍しいな〜」
淳「�陲舛磴鵝張�ーネーション知ってたんや…」
崇「なぁーん！知ってるでぇ！」
淳「ふふ、そやな、ごめんごめん」
崇「もぉー…あ、ちなみに俺のクラスはヒヤ…
ヒヤシ…ひや…ひややっこ…」
淳「豆腐になってもうてるやん…ヒヤシンス？」
崇「それやあ！紫のやつ、綺麗やねんな〜」
席についた淳太に続き、淳太の前の席に座る崇裕。
椅子の背もたれに両手を組んで乗せ、淳太と向かい合う。
淳太は日誌を書き始める。
今日受けた授業の部分も、日直の名前すら書かれていない日誌。
淳太のサラサラと日誌を埋めていく、鉛筆の走る音だけが聞こえる、静かな時間が流れる。
淳「…�陲舛磴鵝△い弔發瓦瓩鵑福�
崇「ん？なんで淳太が謝るん？」
淳「今日だって、本当はもっと早く帰れたし
俺がちゃんと、断っていれば…」
崇「だぁーいじょうぶやで、大毅なんか、
神ちゃんといつもより長くいられるー！
とかって喜んでるやろうしな」
淳「ん…」
崇「望は、まぁー…外が暗くなければ、気づかん」
淳「おん…」
崇「俺のことはええねん！
淳太、辛くなったら言うんやで？
俺じゃなくてもええし、誰かに」
淳「ありがと、まあ暴力ふるわれたり、テンプレな…
上履きに画鋲入れられるとか、教科書に
落書きされるとか、そういうのはないからな」
崇「淳太がええなら、ええけどな」
穏やかな表情で答える崇裕。
相手に仕返しまがいのことをするわけでもなく、かといって大切な友達が嫌な目に遭っているのを見過ごすわけでもない。
精神的に守り、精神的に支えていた、昔から。
優しい彼らしいやり方だ。
淳「…ほんま、ええやつやな、ええ友達持ったわ！」
崇「なんや、急にぃ！
…友達、ね……ありがとな、俺もやで」
少し照れ臭くなったのか、2人して目線を下げて微笑むと、静かな教室にまた、鉛筆の走る音が響く。
春の夕焼けが、優しく2人を包み込んだ。
花言葉ーー。
黄色のカーネーション…『愛情の揺らぎ』『友情』
紫色のヒヤシンス…『初恋のひたむきさ』
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作者名：ぽぽ | 作成日時：2020年11月30日 1時
