虹彩にて変わりゆく日々【JW】 (ページ23)

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episode.21 ページ23

キーンコーンカーン…

『ともひろ～！遊ぼ…』

重「かぁーーみちゃあぁーーん！！！」

『はぁ…またかよぉ…』

神「もー、しげうっさいねん～
　テルくんたち、呼んだ？？」

『……っ！いや、なんもあらへんよ！』

大毅の視線に怯えた智洋のクラスメイト達が、逃げるようにその場を離れた。

それを知らない智洋は、可愛らしい笑顔でクラスメイトに「ほーい」と手を振る。

教室にいた女子生徒たちは＂可哀想に…＂という視線を彼らの背中に投げる。

昼休みになると毎回智洋の教室に来て、智洋の友達を有無を言わさず退散させるという、なんとも大人気ないことをしている大毅。

男子生徒よりも学習能力のある女子生徒は、それを分かっているため、授業の合間の10分休憩や給食、掃除の時間に智洋と話す。

優しく真面目な智洋は男女共に人気が高いのだ。

重「なぁ神ちゃん！昨日のオーソーレ、見た？」

神「見たで！チョコケーキ、おいしそうやった…」

重「神ちゃん甘いもの、特にチョコ好きやもんなあ」

神「おん…1番すきなのは、チョコバナナパフェ」

重「なんかえろi…ぃじゃない、かわええ」

神「あっ！りゅーせーやあ
　サッカーうまいな～、俺は球技苦手や…」

重「球技できなくても、一生俺が面倒見…」

神「あっ！流星入れたで！！かっこえぇ～」

重「……あかん！兄弟やで？！」

神「？そうやよ？今のすごかったやんな！」

正直、智洋しか見ていなかったが、「そうやな、うん、あれやな、サッカー選手見てかっこいいって言う、あれやな」とブツブツ。

小学生になってからというもの、幼稚園時代ほど智洋の見張りをすることがなくなった流星とは裏腹に、大毅は変わらず…

いや、むしろ過保護が悪化しているようだった。

神「しげもさ、お友達と遊ばんの？
　クラスのみんなと仲良さそうやん」

重「んー？ええの～
　クラスの奴らはほぼ1日一緒やけど、
　神ちゃんと長く話せるの、昼休みだけやから」

「えー、行きも帰りも一緒やのに～」とクスクス笑う智洋。

神「でも、俺、しげと話すのすきやから
　来てくれるのうれしいで」

重「……」

神「…しげ？顔赤いで？どしたん？」

大毅の気持ちに気づかない智洋は、体調が悪くなったのかと心配してアワアワしだす。

重「だいじょーーぶ！！元気やから！」

大毅がニッと笑い、智洋がほっと安心した表情を浮かべる。

ニコニコ笑い合う2人に、3月の春の木漏れ日が注ぎ込んだ。