輝きの音を追って ページ10
「オマエが孤独だって決めるのはオマエ自身だよ、神代くん」
パラパラと譜面を読む。知っている曲も多いためか問題なく三日でアレンジまで仕上げられそうだ。ショーのあらすじをメールしておくように言って、踵を返した。
待って、と声がかかる。
「……君は僕と、一緒にショーをやってくれるのかい……？」
寂しそうな声で、そんなことを言う。思わず笑ってしまった。
「少し違うよ。ボクはただのお手伝い」
ボクはまだ、ショーにかける情熱を知らない。どうしても彼とショーをやりたい、なんて思っていない。けれど、あの、あまりにも悲しい孤独は見過ごせなかった。
「オマエがショーをする相手はきっと、別にいる。どれほど危険な演出も、世界に出てしまえば完成度によっては奇抜な個性となる」
「朱雀くん……」
「ヒナで良いよ。そうだねだから……」
みんなを笑顔にしたい、なんて言っておきながら。どうしてこんなに寂しそうにするんだ。観客を笑わせても、キャストが笑わないんじゃ意味がないでしょ。
振り返る。情けない、少し期待したような顔の男が面白くてさらに笑った。あぁ、こんなに嬉しそうなくせに──お手伝いですら期待してしまうのに、一人でやろうなんて言ってたんだ。
「先に世界へ出てるピアニスト様からの、ありがた〜いチュートリアルだとでも思っておいて」
世界にはいろんな人がいて、変なヤツも相応にいる。だから諦めないで、誰かが仲間になってくれると信じて、そうなった時のために、教えてあげるだけだ。ボクは彼の仲間にならないし、これっきりのお手伝いになるだろう。
彼はしばらく目を瞬かせて、絞り出すように声を出し、胸に手を当てた。
「…………ありがとう、ひなくん」
「フン、ほんとに感謝しなよ？ このボクを無給で使うっていうんだからね！」
意外なことを聞いて、意外な嬉しいことがあったみたいに頬を染める神代類。その顔、初めて見た。でも、そっちの方が人間らしくて悪くないかな。
⭐︎⭐︎
姫名が帰路に着いた後の、グラウンドの騒めきもおさまり酷く静かになった五時間目。類はぼうっと両手を見つめていた。
朱雀姫名。変な子だなぁ、と思う。一年生である類と同じ歳の、多分同じクラス。殆ど学校に来ない孤高のピアニスト。
「僕の孤独を決めるのは、僕自身か……」
人が嫌いなのだと思っていた。自分以外の人間に関わるそぶりを見せなかったから。
「笑顔、初めて見たなぁ」
あの子は思っていたより、人が好きらしい
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ゆめ(プロフ) - りんごさん» 本当ですね！ 訂正しておきました。ご指摘ありがとうございます！ (2022年10月25日 7時) (
レス) id: cefb73a9d4 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ，フラ立ってますよ！ (2022年10月25日 6時) (レス) id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：文字書きの端くれ | 作成日時：2022年10月25日 0時
