第二幕 ピアノの世界 ページ12
唐突な展開に目を白黒させるボク。目の前には、明らかに先ほどいた自分よりも狭い空間と──そこの主のようにボクを迎える、ボクと同じくらいの双子がいた。
ピアノコンクールに着ていくようなフォーマルな服を着た双子のうちひとりの少年が、笑ってこちらに歩み寄る。けれど目が笑っていない。
爽やかな黄色の服を着た双子のうちひとりの少女は、少年の後ろからにこりと心底嬉しそうに笑ってこちらを見ていた。
「ヤァこんにちは、お目覚めだね僕達のご主人様！」
「私達あなたと会えるのを、かねてよりお待ちしておりましたわ！」
いや、そんなまさか。でも──
歓迎の言葉を紡いだ少女、恭しく挨拶をした少年。それはあまりにも有名な存在であり、あり得ない存在でもある。
ボクは戦きながらも、その名前を口にした。
「──鏡音リン」
「はい！」
「鏡音、レン……」
「うん。知っていたかな？」
有名なVOCALOIDの中でもさらに有名な歌う双子(双子ではないのだけれど)のVOCALOID、鏡音リンと鏡音レン。
はくはくと口を開いては閉じるボクに双子はさらに笑って近づいて来る。
元々そんなに広くはない──本当に狭い。一般家庭の子供部屋みたいな空間だ──部屋だ、逃げ場はない。
「僕達、このセカイの住人なんだ。このセカイはどこか、ご主人様はわかってる？」
「ここは、あなたの想いが形を成した素敵な場所でしてよ。今はまだこの一部屋しか見えないのだけれど」
「ご主人様の想いによって、ここは如何様にも変化する！ だから僕達、ご主人様を待っていたんだ！」
そうして、立たせてもらい──ぐるりと周囲を見渡す。
扉もなく、窓もない。光は入らないけれど、天井からいくつも吊るされた星型の照明と、天井の中心部に大きく開けられた丸い間接照明が明るさを演出している。
壁面は薄いレースのカーテンに覆われていて、詳しくは見えない。けれどそこが果てであることは何となくわかった。
そんな部屋の中、ピアノがひとつ。ピアノが置かれた大理石の地面以外はふかふかの布団みたいなものが覆っている。
「あ……あのクッション」
「見覚えのあるもの、ありましたの？」
「あぁ……うん。これは、ボクが昔使ってたやつだよ」
そうしてふかふかの地面を裸足で歩き、赤いひよこのクッションを持ち上げる。リンはそれを見てまぁ！ と歓声を上げた。
「本当にあなた、私達のご主人様ですのね！」
「っうわ」
「こら、リン！」
リンが駆けてきて、細腕でボクを抱きしめる。
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ゆめ(プロフ) - りんごさん» 本当ですね！ 訂正しておきました。ご指摘ありがとうございます！ (2022年10月25日 7時) (
レス) id: cefb73a9d4 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ，フラ立ってますよ！ (2022年10月25日 6時) (レス) id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：文字書きの端くれ | 作成日時：2022年10月25日 0時
