くっくんと ページ27
結香は、また意識を浮上させた。
ここの神様と結弦は常に忙しい。
どこかの獣人から預かってきていたファイクくんの面倒を見る暇は無いようだ。
頑張って面倒を見てくれているが、やはりちょくちょく二人とも留守にしてしまう。
のそりと動きだし、少し準備運動をしたら、模型のおもちゃで遊んでいるファイクくんに近寄った。
「ファイクくん」
「?」
「遊ぼ」
ファイクくんはこくんと頷いて、こちらによちよちと来てくれた。
可愛い。
「まず、お水するね」
「おみ、う」
「ファイクくん偉い。かしこいね」
「あうー!」
言葉を軽く教えながら、たらいを用意し襷掛けして、おしめを外して、お湯を張ったたらいに浸す。
ぱしゃぱしゃとかけてあげて、この間奴等がいないときに買っておいた子供用のボディソープで肌をピカピカにし、髪の毛を優しくすいたりしてシャンプーを染み込ませ、優しく洗った。
「できた。体ふきふきして、髪の毛ふきふきして、乾かそっか」
そういえば、最近この子は体を自分でふこうと奮闘しているみたいだ。
タオルを渡して、髪をふいてあげていたら、自分で体をふいている。
可愛い。
「えらいえらい。すごいね」
さくっとファイクくんの体を仕上げでふいて、一応おしめを変えて、新しいベビー服を着せる。
しかし、進歩したなぁ。科学。
「ぬくいぬくいしようね」
お風呂をおえたらまた本殿に戻って、ドライヤーのスイッチを入れた。
ゴォー……と鳴るドライヤーの音に合わせて、ファイクくんが揺れる。
……そういえば、ファイクくんって言いにくいな。
「僕の呼び方から覚えたら多分面倒だし、くっくんでいいか」
「うー?」
「なんでもないよ。くっくん」
完全に乾いたくっくんの頭に顔を埋める。
いいにおいのシャンプーと石鹸のこの子供は、なんだか神聖なもののような気がした。
「んー。太陽の匂い……お昼寝しよっか」
「おひうね!!」
るが言えないくっくんをなでなでして、僕は毛布を持ってくる。
ふたりでころんと転がって、いつもの子守唄を歌ってあげた。
「ねーんねん、ころーりよ、おころーりーよー……」
願わくば、この可愛い可愛い生き物が、愛に包まれた人生をおくれますように
アネモネ荘
「あれ。おはよーくっくん!どったの?」
ぱっと目を開けると、ゆーちゃんが読んでいた本をパタンと閉じてこちらを見て笑った。
ゆーちゃんのベッドで眠ってしまっていたことを思い出した。
ゆーちゃんの笑顔が、ある人の無表情に重なる。
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ちゃっぴー(プロフ) - エスカルゴさん» ありがとうございます!こちらも載せました! (2019年6月5日 20時) (レス) id: 77bb05bd52 (このIDを非表示/違反報告)
エスカルゴ(プロフ) - ちゃっぴーさん» 勿論です!心配をお掛けしてすみません。もう設定したので全体公開にしました! (2019年6月5日 20時) (レス) id: d6c730a35c (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぴー(プロフ) - エスカルゴさん» 返信ありがとうございます!何かあったのかと不安になってつい聞いてしまいました……すみません。見れるようになったらで良いので派生作品欄に載せてもよろしいでしょうか? (2019年6月5日 19時) (レス) id: 77bb05bd52 (このIDを非表示/違反報告)
エスカルゴ(プロフ) - ちゃっぴーさん» あ、今フォントとかの実験中なだけです。すみませんちょっとあぁ言うの苦手で、色々ぽろぽろこぼしちゃいそうだったので…… (2019年6月5日 19時) (レス) id: d6c730a35c (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぴー(プロフ) - エスカルゴさん» 失礼致します。結香様の過去話が友達申請者のみの観覧となっていますが、何か不都合などありましたか? (2019年6月5日 19時) (レス) id: 77bb05bd52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エスカルゴ | 作成日時:2019年3月29日 11時