#Long_Slow_Distance (ページ48)

今日:17 hit、昨日:6 hit、合計:22,853 hit

涙が流れて、それで② ページ48

『限界だっだろうに、最後まで諦めずに一緒に来てくれて』
『…悠太くんだって同じでしょ？』
『や…俺もそうだけど。Aを見るともっと辛かった』

お互いが同じように心配しているのに
少しもそんな風には見せ合わなくて…

『うわぁ私達ホント考える事が似てるよね？(笑)』
『うん(笑)』

私が笑うと悠太くんも笑ってくれる
それだけで嬉しくて

悠太くんが優しい顔で
あたたかく言ってくれるの

『アメリカ、楽しもう…あとたまにでいいから、俺が昔言ったあれを思い出して』
『あれ？』
『"悠太くんがそう言った"ってヤツ』
『あ～！覚えてるけど…』

いつ使おうか？

『本当にダメだって時に使って』
『ふふ、何か魔法の言葉みたい』
『そうそう(笑)』

笑い合って、黙り飲む

何も言わずに悠太くんが何度か頷いてくれるのを見て
鼻の奥が熱くなった

どうして急に涙が出てくるのか不思議だった

『俺には分かるよ。Aがこういう事で…感情的になる気持ちが。だから忘れないで』
『ごめんなさい』
『謝らなくて良いんだよ。分かった？』
『…』

答えられずに俯いていると
テーブルの向こうからわざわざ悠太くんがやって来て
肩を抱いてくれる

『泣くなよ～…何が心配？』
『…全部』
『全部かぁ。それは大変やで』

またドヨンがお小言モンスターになって
泣くな！って、心配性やめろ！って言ってくるで？
と悠太くんがからかってくる

トントン、と規則的なリズムで叩かれる背中に
少し呼吸が落ち着いてくる

『なんか…最近泣きすぎちゃう？』
『元々こうだけど、最近…歳取ったからかな(笑)もっと泣けてくるんです』
『ドライアイの心配が無さそう』

何言ってるの(笑)
脈絡のなさに思わず笑うと、あー！笑った！って頬っぺたを軽く突かれる

『笑わせたから俺の勝ち』
『うん～(笑) ありがとう。悠太くん』

立ち上がった悠太くんの顔が見たくて
見上げるようにしてお礼を伝えると
髪まで一緒に頭をぐしゃぐしゃに撫で回されて
おまけに背中までバシッと叩かれる

『痛ぁ！』
『心配させた罰ですぅー』

わははーって変な笑い方をしながら
お兄さんは退場していった(笑)

よく見ると寝る前みたいなタンクトップの背中…
わざわざリビング覗いてくれたんだね？

今さら申し訳ない気持ちが込み上げてきながらも
ティッシュで鼻をかむ

ここ数ヶ月、ずっと頭の隅に考えている事は
今伝えるタイミングではないと分かってるから

もう少しだけどうか甘えさせてね