#Long_Slow_Distance (ページ30)

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Long Slow Distance④ ページ30

ドンちゃんがいつも言う
あの手紙をくれたのは私と同い年ぐらいの女の子だったよって
そう言うけど、嘘じゃない…

大人っぽいけど、可愛い年下の女の子だよ

すっかり黙ってしまった私に、その人は韓国語で話し続けた

「手紙を直接渡したかったですが、まだチャルラさんが公には受け取れないって、代わりにヘチャンが…あ、ヘチャンさんが貰ってくれて…」
『…覚えてます。とても良く覚えてます、手紙の事。Aさん？』

あの手紙の最後に書いてあった名前を呼ぶ
私と同じ名前の、Aさん
やっぱり…日本の方だったんだ

するとAさんの目に、みるみる涙が溜まる

その姿を見て、堪らなくなる

まさかこんな偶然に出逢えるなんて

『あなたがくれた優しい言葉に救われた瞬間が何度もありました。本当にありがとう』
『…！あのっ、私今度のツアー、遠征して東京の公演に行くんです。チャルラは出ますか？』
『それは…まだ分かりません。でも出たいとは思ってる』
『そうですか…』

感謝を伝えるには時間が足りなかった
でも、そろそろ時間だと、頭の中の冷静な自分が告げる

『ありがとう…私もう行かなきゃ。またツアーで会えたら…』
『あ、はいっ…！プライベートなのにすみません…っ。ありがとう…っ』

こんなに支えてくれたファンなのに、こんな慌ただしく別れてしまうなんて…残酷だ

背中を向ける前に、もう一度その姿を目に焼き付ける
もう二度と見つけられる自信がないから
二度と会えないかのように記憶しようとした
そのAさんの手元に、しわくちゃの紙とペンが握られていた

『あ、その紙…』
『サイン…ダメですよね？握手も…』

ダメじゃないっ

ドヨンヒョンごめん、と内心謝りながらAさんへ近づくと露骨に緊張される…(笑)
握手をして、紙切れを受け取る

今度日本でリリースするアルバムで好きな曲
Long Slow Distance
ネタバレになるかな
バレなければいいよね頭文字だけ

"離れていてもずっと一緒です♡"
"LSD. ただ、チャルラ"

本当はもっと付け足したいけど…

『ごめんなさい、サイン慣れしてなくて』

韓国で時々ファンですってサインを求められることはあるけど
その時はいつもサインを書いて渡すだけだから
メッセージ付きのサインはほぼ初めてだ

不安だけど、書き終えて両手で渡す

『コンサート会場で会えるのを楽しみにしています』

私が言うと、Aさんは歯を見せながら笑って、何度もなんども頷いてくれた