「俺だけじゃないって証明して」2 ページ23
-SIDE：Jaehyun
マネヒョンに車を飛ばしてもらって宿舎に戻る
玄関からは物音すら聞こえないけど
リビングからわずかに明かりが漏れていた
きっと誰か起きてるんだろう…
映画でも見てるか、ゲームしているか
Aの部屋にそのまま行こうか迷ったけど
リビングにいたら二度手間だし、ひとまず立ち寄ることにした
スマホを片手に廊下を歩いていたから、引き戸を開けた途端に立ち止まったジャニヒョンの背中に軽くぶつかった
何かと思って見上げると、ヒョンが俺に告げる
"冷静でいろよ"……って
何が？って笑いながら返して…ジャニヒョンに続いて入ると
誰かソファに座っていた
しーっとでも言うように人指し指をくちびるに当ててるドヨンイヒョンと
ヒョンの肩に寄り掛かるように眠ってるA
おかえり…と静かにドヨンイヒョンが言うから
ジャニヒョンのただいまも自然に小さくなる
ただ俺はその時…、ただいまも言えなかった
今日、会いたくてたまらなかった人が
もう眠ってしまったことにショックなんじゃなくて
その人の頬に伝った涙の跡がすぐに見えたから
そしてその涙を見せたとき
近くにいたのは俺じゃなくて
ドヨンイヒョンだったってことに対して…
Aを一人きりにさせずにいてくれた有り難さと
なんとも言えない、グルグルと、複雑に感情が混ざってる
何でか分からない
俺が小さくため息を漏らしたのをドヨンイヒョンは見逃さなかった
ヒョンは低く、小さな声で、ちょっと上目使いに俺をじっと見つめて…
DY「ジェヒョナ…。お前、ダメだよ…同い年を泣かしたら」
「はい…。あのヒョンもしかして…今日の放送見たんですね？」
DY「内容チェックしてたんだよぉ(笑)そうしたら途中から空気が変わって、お前が謝るからすぐにAのことだって分かった。それで心配になって見に行こうとしたら真っ暗なリビングにいたよ。A、泣きそうな顔で放送観てた」
そうか…あの時と同じだ
テイリヒョンと少し喧嘩になった時
ドヨンヒョンもジャニヒョンもAの気持ちを先回りして…素直に泣かせてあげてるんだ
俺は…いつも何か起こってからじゃないと気づけない
いつもただ、近くにいるだけで
いつも、傍にいるのに
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作者名：F | 作成日時：2018年8月15日 2時
