#ONE FOR 10,_10 FOR ONE (ページ46)

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母を思い出す人④ ページ46

-SIDE：Haechan

何かあれば相談が出来る家族がいて
僕が出来ないことを手助けしてくれる兄や弟のようなメンバーもいるし
唯一女性メンバーとして、母のように見守ってくれるヌナも
子供の頃からずっと一緒に過ごしてくれた家族のような会社の方々もいるのに

「そんなに心配されたら僕がすごく頼りないみたいだよ」
「実際にそうよ」

ヌナが真剣な声音で言うから
思わず目を見張る

「年齢が全てじゃないけど…君はまだ未成年で守られるべき存在なの。仕事だって、夜はまだ一緒に出来ないから早く帰るのに、寝ないでゲームしてたら意味がないでしょう？」
YT『オカンだ』
「…さすがにうるさすぎたかな？」

ヌナ自身は厳しく言ってるつもりなんだろうけど
持ち前の温厚さで全く恐怖は感じられないし、
こちらを気遣ってくるから
ただ優しさしか伝わってこなかった

「僕が冗談でもヌナを拒む事があると思う？」
YT「ないと思う」
「私も」

あまりの即答ぶりに、その場にいる全員が少し笑ってしまう

「そうでしょ？だって…僕にしてマクヒョンにしない事だって沢山あるんだから」
「何で急にマークが出てくるの？」
「僕の事は沢山抱き締めてくれるけど、マクヒョンにはしてない。贔屓してくれてるからだよね？」
「私じゃなくて、あんたがハグしてくるからただ受け入れてるんだよ」
「ヌナ、そこは正直に言わなくても良いところじゃないですか…でも、仮にそうだとしてもヌナは拒まないでしょう？」
『あ～…それはドンちゃんだから』

ヌナは日本語で何か呟いたあと、無意識だったのか少し恥ずかしそうにして
改めて僕の顔を覗き込んで言う

「それはドンちゃんが良い弟で居てくれるからでしょ。良い子には良くしてあげたいし、悪い子にはちゃんと叱らなきゃ」
「マクヒョンは悪い子なの？」
「良い子だよ。マクもあんたも良い子。マークには…ただ約束を守って欲しいだけ。そういう意味では悪い子かもね」
「でも…手の掛かる子が可愛いって言葉もあるじゃないですか」

僕は常々、そう感じてるんだよ

マクヒョンは努力家で模範的な部分はあるけど普段は抜けてるというか、人間らしい人だけど

僕は我慢したり、スマートに振る舞ったり
そういうのは未成年ながらにも慣れてるところがあるから

だから誰かに比べて可愛げがあるかと言われると
ちょっと戸惑ってしまうんだ

突然不安感に襲われて
ヌナの首に手を回して顔を見つめる

「ヌナは僕の事…可愛いって思ってくれてる？」