#ONE FOR 10,_10 FOR ONE (ページ45)

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母を思い出す人③ ページ45

-SIDE：Haechan

個人的に考えるのは…
関心を持たれなくなったらこの関係は終わると思う

オレがチャルラヒョンに関心を持たなくなる日は
天地が逆さになってもきっと来ないと思うけど
反対は…あり得ると思うんだ

例えば、もし仕事で離ればなれになって
しばらく会えずに近況連絡が途絶えてそれきり…とか

そういう類い

元々連絡がマメな人ではないからさ

「僕…会いに来たんだよ。それでわざわざちゃんとノックまでして部屋まで行ったのに黙って外出してたでしょ。だから待ってたのに…」
「うん…そうだよね。確かに黙って行った。それで部屋に戻ったらあなたが寝てた。でも、私もドンちゃんにたまにはゆっくりして欲しいと思ったから、立ち去ったんだよ」
「………そうなんだ」

ごめんね、と静かに背中を撫でられたら
僕は弱くなって、何も言えなくなる

あからさまに大人しくなったのが面白いのか
ユタヒョンの笑い声が背後から聞こえた

僕は少しだけ壁を見つめた後
目を閉じて、ヌナのぬくもりを感じ入る

スラッとしていて一本軸の通る、しっかりしたヌナの首すじに頬っぺたを押し当てると
体勢がキツイからと言って、膝の上に横向きに乗せてくれた

身体を支えてくれるヌナの腕は
細いのに頼りがいがあってすごく好き

「あんた、夜は眠れてるの？」
「ぅん…」

最近急激にスリムになっていく姿は、ヌナの意思で変わっていってる…と
僕には願うことしか出来ない

「なら良いよ。変な夢は…疲れてるから見ちゃうんだろうね」
「うん」
「うんうんって…ねぇ、大丈夫なの？」

ヌナが顔を覗き込んでくる
ほんの少しだけ色素の薄い瞳が、目と鼻の先でキラキラ光ってる

「ドンちゃんが自分の心配してあげなくて誰がするって言うの？」
「ヌナがする」
「ふざけない」
「ハイ」

真面目に聞こえるように返事をすると
ヌナが僕を抱き直してくれる

ヌナの耳がほっぺたにくっつけられた事に気付いた途端、
少しだけ体温が上昇した気がした

くぐもったヌナの声が聞こえる

「するけど、どうこう出来るのはあんた一人だけでしょう」
「どうこう、か…」
YT「それは本当だよ、ヘチャナ」

ユタヒョンの声がさっきと違う位置から聞こえてくる
振り返ると、カーペットに移動していた

「ユタヒョンまで～」
「心配してるのよ私達」
「宿舎のおばさんのご飯もちゃんと食べてるし、練習が運動になってるし、大丈夫だって」

僕にはよく分からない
一体何が心配だっていうんだろう