#ONE FOR 10,_10 FOR ONE (ページ44)

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母を思い出す人② ページ44

-SIDE：Haechan

「はい、どうぞ」

ヌナはコップを手渡すとまたどこかへ向かおうとするから
引き留めるために椅子の座面をバンバンと叩くと、苦笑されてしまう

お菓子用意するから待ってよ、と可愛い笑顔で言うけど…
そんなの待てないってば

「ヌナ早く。ここ座って」
「うん」

3人で食べるお菓子が机の上に並んで、ようやくヌナは席に着いた

YT「ようやくヘチャンの甘えん坊タイムだな」
「さすがヒョン分かってる～。その…ヌナ、良いよね？」
「う、うん」

僕はヌナに腕を回して抱きつく

このレベルの接触は今や
宿舎でだって許しを得なくてはならない

出会ったばかりの頃はどこにいても沢山ハグをして、身体中に頬っぺたをズリズリしても受け入れてくれたのに…

もちろん僕達の愛は"家族愛"だけど
大衆には正確に伝わらないのが常だから仕方がない

公での交流は僕とヌナが諦めたもののひとつだ

「はぁ～落ち着くー…」
「ドンちゃん飽きないの？」
「んんっ？飽きるわけないじゃん。こんなの一生飽きないですよ」
「そ、そうなんだ」

僕があまりにきっぱり言ったから、ヌナとヒョンが少し引いたような顔で見つめてくる

正面からヌナの肩にアゴを乗せて
口を"あうん"と開閉を繰り返していると
居心地が悪いのかヌナが僕をさらにグッと引き寄せた

「それ、気味が悪いからダメ」
「は～い」

でもくっつくのはオーケーなんだ…と思いつつ
突っ込むのはやめておく

「ヌナ～ドンヒョクって呼んで下さい♡」
「いつも呼んでるじゃん(笑)」
「いやそれはドンちゃんじゃないですか」
「何で」
「は、いや………」

ヌナの塩対応にユタヒョンが笑ってるけど
僕にとってはすごく深刻

「夢見たんですって。ヌナらしい人が僕の名前を呼んで……」
YT「呼んで何してたんヘチャナ」
「変なこと？」
「もうっ、2人ともふざけないで！」

思わず立ち上がって苛立って見せても
何も響いてないみたいにケラケラ笑うヒョン達

「はぁ本当…僕をいじめて楽しい？」
「うん(笑)」
YT「ごめん」

『いじめじゃなくて、いじってるんだよね』

ヌナが日本語で何かユタヒョンに話しかけて、ヒョンは"おん"と応えて笑ってる

何かその姿も…気に入らない

「ヌナのソウルメイトはユタヒョンなの？僕じゃなくて。それとも誰でも良いわけ」
「…どうしてそうやってすぐ拗ねるの」

ヌナが僕の態度に呆れてるけど
子供だとも分かっているけど
いちいちずっと、そうして欲しいって思うんだよ