短編SHOW Part2 （しょーさんのおはなし中心） (ページ10)

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手を繋ごう　1 ページ10

from:A
sub:翔ちゃん…
本文
――――――――――――
忙しいよね？
近々、時間作ってもらえな
いかな？

ーーENDーー

久しぶりにAからのメール。
これを見ただけであいつの様子が普通じゃないことくらいは安易に分かった。

マネージャーにスケジュールの確認をし、
明後日の夜なら時間があることを返信する。

当日、予約しておいた店に二人で入り、まずは飲み物をオーダーする。

何も話さないAに苛立ちもしたが、
タバコに火を付けて落ち着かせる。

オーダーした飲み物が届き、とりあえずはグラスを交わし、俺はそれを口にした。

『A？何か話があんだろ？？』

『……翔ちゃん…大丈夫…？？』

『えっ？』

Aの言葉に驚いた。

『こないだＴＶ見てたんだけど、
　なんだかしんどそうだったから。
　私でも無理してるって分かっちゃったよ？大丈夫？』

確かにいろいろあってテンション上がらなくて、仕事を手抜いてた。
幼なじみだからこそ気付かれたのか、こいつだから気付かれたのか。

『お前に心配されるようじゃ、俺も終わりだな。』

『真剣に心配してるんだよ？』

Aの口調が強くなった。

『私なんかが話聞いて楽になるようなもんじゃないとは思うけど、
少しでも翔ちゃんが楽になれたらって思ったのに…』

そう言ってAは俯き、ゴメンと一言言われた。

『いやっ、A…ありがとな。』

いつもはAの話を聞いて、相談受けて。
今日もそういうことだと思ってたから。

俺とAはそういう立ち位置だと勝手に決め付けたのは俺だけで、
俺だけがずっとお前だけをみてる気がして悔しい気もしてた。

『たまには逆だっていいでしょ？
　何があったの？話せば少し楽になるよ？』

ちょっとふて腐れ気味に言うこいつがなんだか可愛く思えた。

何があったかだなんて言えねよ。
俺の気持ちを左右出来るのはお前だけなんだよ。