短編SHOW （しょーさんのおはなし中心） (ページ15)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:6,917 hit

夢と現実ページ15

『Aさん、俺がラジオやってた時、手紙を何回かくれてたでしょ？
いっつもAさんの手紙が届くの楽しみにしてたんだ。』

．

えっ？確かに私は何かあると手紙を出していた。

それは翔くんのことだったり、自分の私生活での出来事だったり、若かった私は事あるごとに手紙を出していた。

メールじゃなかったのは、ちゃんと直筆で自分の文字で伝えたかったから。

『コンサートもいつも同じ子と一緒に来てくれてるでしょ？
この手紙をくれる人はどんな人か見たくなって、本当はこんなことしちゃいけないんだけど、最初は手紙の名前から事務所に席聞いて顔覚えたの。
俺も若気の至りっつーの？ははっ。
それから毎回コンサート中に自力で探してて、見つけられるとスッゲー嬉しかったんだ。』

彼は終始ニコニコしながら笑って話してくれた。

そんなこともあるんだな、なんて暢気に思ってる自分と知ってくれてたことの驚きと、いろんな思いが交錯した。

『だから出逢ったのが５、６年前だっていうのも嘘じゃないし、
Aさんの手紙で俺が救われて何度もヨシッ！頑張ろうって思えてたのも全部嘘じゃない。』

．

知らず知らずのうちに頬に伝う涙。

翔くんが優しくその涙を拭ってくれる。

．

『ごめん。ビックリしちゃったのと、嬉しいのと…なんて言ったらいいか分からないけど、ありがとう。』

．

翔くんはギュッと抱きしめてくれた。