短編SHOW （しょーさんのおはなし中心） (ページ13)

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夢と現実ページ13

突然、家の電話が二つの音に追加された。

後輩にはさすがに教えてはいない。

会社に聞いたのだろうか…

．

ディスプレイを見ると、そこには今、手にしているメモと同じ番号だった。

思わず私は受話器を手にした。

『あっ、Aさん？櫻井です。』

『はい。翔くん…助けて…』

私は恐怖の余りに思わず口にしてしまった。

『ちょっ、どうしたの？大丈夫？？』

『ゴメン…なんでもない。』

慌てて前言撤回を求めた。

しかし翔くんとの電話は沈黙が続いた。

沈黙を破ったのは翔くんだった。

『Aさん？俺、もうすぐ着くから。』

『へっ？』

『それまで一人で怖いだろうけど、こうして電話で繋がっていれば少しは安心でしょ？』

『翔くん？』

『あっ、ここ曲がればすぐかな。もう着くよ。あっ！このアパートかな。』

『翔くん？本当に？なんで？？』

『嘘じゃないよ。』

ピピッと車の鍵を閉める音が電話越しに聞こえた。

『変な男がドアの前に居る部屋で間違いないよね？これは怖いね。俺がちゃんと送ればよかった。一人でよく耐えてたね。頑張ったよ。』

．

私はなりふり構わず玄関を開けた。

玄関前では突然開いたドアに驚く後輩と携帯片手に後輩を睨む翔くんの姿があった。

．

『翔くん…』

『お待たせ。もう携帯は用ないね。』

そう言って携帯をポケットに仕舞い、私を昨日みたく後ろ手で後輩から匿ってくれた。

『お前なんだよ！邪魔すんなよ！！あぁ？昨日の奴か？』

『すいませんけど、そちらこそ邪魔しないでもらえます？』

『てめぇ、何様なんだよ！どういう関係なんだよ！』

『どういう関係？彼女は僕にとって大事な人ですけど、どういう関係って言われるとねぇ。』

『なんだよ！彼氏じゃねぇし、どうせ昨日会ったばっかだろ？』

『昨日？いやっ、出逢ったのはかなり前だよ。５、６年前。彼女はずっと俺のこと応援してくれてるし、俺も彼女に会う度に頑張ろうって強くなれる。まぁ、そういう関係？』

ね？と笑って私の顔を見る翔くん。

．

ねぇ、今のは冗談だよね。

彼氏役の設定の台詞だよね。

．