karte 167 −Stop it!!− ページ7
.
｢お前…なのか…？｣
壁に打ち付けた拳を力なくおろし
俯いたまま絞り出すように言う。
｢……だから何がだ？｣
｢今回のこと…仕組んだのは…
全部、お前なのか…？｣
ゆっくりと顔を上げ
涙が零れるのに任せたままの瞳で
俺を正面から見つめる。
｢……遺族って…
お前、なのか？……｣
｢………何の、ことだ？｣
｢18年前…この病院で犠牲になった少年の…
少年の遺族って……お前なんだな……｣
｢……お前、ナニ言って……｣
｢…頼むからっ！！！｣
翔が、物凄い力で俺の肩を掴む。
｢もう…もう…誤魔化さないでくれよ！！
俺に…俺に本当のこと……教えてくれよ！
俺にお前のこと…嫌いにさせないでくれよ…
頼むから…頼むから……｣
途切れることなく溢れる涙…
ズキリと痛む胸……
｢俺は…俺はただ
本当のことが知りたいだけなんだ…
18年前、本当は何があったのか…｣
…やめてくれ……
｢どうして少年は…死ななければならなかったのか…｣
……もうやめてくれ……
｢そしてお前が、どうして…｣
………やめてくれ！！！
｢それを知ってどうする？｣
｢………どう、するって…｣
｢それを知って、お前はどうするつもりなんだ？｣
｢そ、それは………
でも…こんな、こんなことになって…
病院中がめちゃくちゃになってるんだ！
放っておけるわけないだろう！！｣
｢仮にだ……俺がその遺族とやらだったとして…
そうだとしたら、お前はどうするんだ？｣
｢…そ、れは……｣
反論する隙を与えないように
さらに畳み掛ける。
｢すべてを知った上でお前は…お前に…
何ができるっていうんだ？｣
｢…何って、そりゃ、病院のために……
それに、それにお前にも…｣
｢俺に？…俺に謝罪するとでもいうのか？
病院のために、院長を…父親を見逃してくれとでもいうのか？
泣き喚いて、許しを請おうとでもいうのか？！！｣
｢そ、そんな、こと………｣
｢じゃあお前に何ができるっていうんだ！？
許しを乞う以外、お前に一体何が！！？｣
.
karte 168 −許さない−→←karte 166 −怒りと哀しみ−
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 345人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
