karte 165 −悲憤、義憤、それとも…− ページ5
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そのまま俺から目を逸らすことなく
潤が嘯く…
｢さーて…なんのことやら…さっぱりだな。｣
その視線の強さに
思わず俺の方が目を逸らしてしまいそうになる。
くそっ……負けちゃダメだ！
ここで怯んでちゃダメなんだ！
負けじとグッと睨み返す。
｢…い、今までのこの騒ぎは
全部お前が仕掛けたのか？｣
｢…だから、なんのことだ？｣
｢いい加減にしてくれよ！
彼女が全部話してくれたんだ！
誰に頼まれて、自分が何をしたのかをっ！｣
｢……｣
｢お前は何がしたいんだよ！何が狙いなんだ！
親父や、病院を陥れて…
挙句に患者さんまで混乱に巻き込んで…
そんなことして、何が楽しいんだ！！｣
｢………楽しい？｣
フッと短く息を吐き
目を閉じる潤。
再び開かれたその瞳が俺をとらえ
思わず身構えてしまう…
でも…
見つめ返したその瞳には
今まで見たことがないほどの
哀しみの色が浮かんでいた。
｢…お前…あの女から何を聞いたって？｣
｢な、何をって…彼女とお前の関係と…
それから、お前からいわれて、彼女がやった事だ…｣
｢……｣
｢彼女は、その良心の呵責に耐えかねて
それで、それであんなことを……｣
｢ふん……馬鹿な女だ。｣
｢お前っ！！｣
咄嗟に潤の襟首を掴んでいた。
あんなにもひとり胸を痛め
『あの人を助けて』と
涙ながらに俺に訴えてきた彼女の想い…
その想いを一蹴するかのような潤の言葉に
思わず怒りがこみ上げた。
｢…なんだ、お前？
まさかあの女に惚れてるのか？｣
その言葉を全て聞き終わる前に
俺は潤を殴っていた。
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