外科医 MJ -Chapter 5- (ページ19)

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karte 179　－bygone days Ⅳ－ページ19

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その後は、家庭裁判所が決めた

未成年後見人の弁護士が

俺の実質的な親代りになった。

『君にはお母さんの残してくれた遺産がある。
私はこれを、君が成人するまで管理し
君に必要な支出をそこから算出し
賄うのが仕事だ。』

思いがけない話だった。

父さんが生きてた頃も

うちはそんなに裕福じゃなかった。

その父さんが死んでから

さらに生活は厳しくなった。

生まれつき持病のあるカズの医療費も

バカにならなかったはずだ。

だから母さんはずっと働きづめだった。

そんな残せるほど金に余裕があったとは思えない…

いや、あるはずがなかった。

じゃあその金は一体……

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ある日、施設に入った俺を訪ねてきたその人は言った。

『君が成人して、ひとりで生活できるようになるためには
相当の努力が必要だ。
遺産があると言っても
それを食い潰して生活していけるほどの額ではない。
そのために、君には将来のビジョンを明確に持ってもらいたい。
将来、何になるのか、どうなりたいのか。
それに向けて、これから自分が何をすればいいのか
しなければいけないのか。』

その言葉で、俺は医者を目指すことを決めた。

ずっと発作で苦しむカズを見てきて

それを助けてくれたじーちゃん先生を見てきて

子供心に漠然と、俺もいつか医者になって…

なんて思っていたこともある。

でもそれよりも、あの

『手術しても助かる見込みはなかった』

という言葉がどうしても信じられずにいた俺は

それが本当だったのかどうか

自分の目で、手で

真実を確かめたかったからだった。

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