karte 173 −決意− ページ13
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潤の口づけは
荒々しく乱暴で
それでいて気を抜けばそのまま魂ごと持って行かれそうなほど
情熱的だった。
ともすれば意識ごと持って行かれそうになりながら
なんとかその唇から逃れた。
「なんで…なんでこんな…」
頭が、クラクラする……
上気しているであろう顔が
今まで感じたことないくらいに熱い。
そんな俺を見て、潤が言った。
「…そうだ、許しを請う以外にお前にできることが
もう一つだけあったな。」
あ。。。。。
その潤の言葉で
俺は確信した。
ああ、やっぱり…
やっぱりそうだったんだな……
『あの子』はお前の、弟…だったんだろ?
自分のために壊れて行った人たちを蔑むかのような
心無い言葉の数々…
でも、俺にはわかる。
お前が本当は誰よりも心を痛めているって。
あの薄暗い部屋で、俺の体を拭いながら
人知れず涙を流していたお前も……
いつの間にかあの人の眠る病室を訪れていたお前も……
自分が巻き込み、傷つけてしまった人達を
無碍に見捨てることができなかったから
なんだろ…?
誰よりも命の大切さをわかっている
お前だからこそ……
だから……
「……上辺だけ取り繕って体裁だけ整えて
その下でもがいてる奴のことなんて見て見ぬフリだ。」
「俺は…俺を…アイツと一緒にすんな!!
俺は親父とは違う!!
俺は苦しんでる人を見て見ぬフリなんてできない!
絶対しない!!だからっ!!……」
全てわかってるなんて言わない。
「…だからお前のことも
見て見ぬフリなんてできないんだ、潤…」
「………」
俺の知ってることなんて
きっと本当に上っ面のことでしかない。
「お前が苦しむのを…苦しんできたのを…
気づいてしまった、から…だから……」
でも、それでもいい。
これ以上、お前が傷つくのは見たくない。
「お前が…お前がどうしても親父を許せないっていうなら…」
見たくないんだ…
だって俺は……
「俺を、お前の好きにしろ…」
お前を………
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