少女Aの日常 in立海 (ページ5)

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第４話　　俺様何様ロー様。ページ5

はあ、と深くため息をつく。
その原因は言わずもがなテニス部だ。

あれからまた更に色々絡まれて、私の疲労は既にMaxだ。
そしてようやく学校が終わり、目の前には私のオアシス(＝我が家)のドアがある。
やっと解放されるのだ。

すがるような思いでドアを開けると、あるはずのない男物の靴がそこに。
私の家の鍵を持ってる男なんて、この世界で一人しかいない。兄だ。

「…ただいま」

「遅ェ」

「……１週間ぶりに会った妹に対して、第一声がそれってどうなんだろうね」

「うるせェ。飯作れ」

「…まだ５時だよ」

この横暴極まりない男は私の兄で、名をトラファルガー・ローという。
名前はガッツリ外国人だけど、一応ハーフ。
そして長身イケメンのお医者様だ。

見た目が似てなくて苗字が違うのは、ローが義兄だからである。
こいつを見ていると、世の中がいかに平等でないかが思い知らされる。
イケメンでスタイルよくて、頭もいいなんてどんだけだ。

「今日は忙しくて、昼飯食ってねェんだよ。腹減った」

「…それはお疲れ様。でも私も疲れてるから…」

「あァ？」

「ごめんなさい今すぐ作らせて頂きます」

「それでいい」

ああ、私にオアシスなんてなかった。
ローのばか。鬼。俺様。人でなし。
私への気遣いってもんを覚えろこの野郎。

「何か言いたげだな」

「何でもありませんロー様」

「フン」

ローは不機嫌そうにテレビをつけた。

この家に住んでるのは私とローの二人だけ。
両親は事故で他界、それ以来はローの給料で生活している。
この時ほど、兄が医者でよかったと思ったことはない。お陰様で不自由はゼロだ。

しかしローは、殆ど家に帰ってこない。
いつも彼女さんの家に泊めてもらってる。
そんなに私といるのが嫌か、と以前聞いたが、どうやらそうではないらしい。
理解不能だ。とりあえず、私の料理が好きらしい。

「…今日は彼女さんの家には泊まんないの？」

「別れた」

「……あれ、付き合い始めたのって、」

「五日前だ。しつけェ女は嫌いだからな」

「…あっそ」

いつもこんな調子だ。
そしてそういう日は決まって、私のご飯を食べに帰ってくる。
身勝手極まりない。

早いとこ結婚でもしてくれ。
そしたら私は、一人暮らしを満喫するから。