少女Aの日常 in立海 (ページ26)

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第２５話　　問題だ。ページ26

ここは屋上。
私は悩んでいる。
それは勿論、マネージャーの件でだ。

困ったことに、断る理由がなくなってしまったのだ。
女子の嫌がらせは、ちょこっとケンカを買ってみただけで、綺麗さっぱりなくなった。
それだけを理由に断り続けてきた私にとっては、相当痛い。

しかしそれをきっかけに、アリかもしれない、なんて思い始めている。
テニス部の人達は、非凡なことを抜けば別に嫌いじゃない。
良い人達だし。まぁ、やっぱ面倒なとこはあるけど。
それでも、一緒にいるのが何だかんだで楽しくなってきている自分がいるのだ。

ただ、問題がある。
あんだけ拒否っといて、今更なんて言うんだっつーわけだ。
普通に「マネージャーやります」でいいのかもしれないけど、それはなんか屈辱的だ。
何かいいセリフはないものか。

「うーん…」

唸ってみても、なかなか出てこない。
いっそのこと、このまま「やりません」を貫くか。
ああ、それでもいい。別に今までと変わらないんだし。

「いや、でもなぁ…」

やっぱり、あの連中と一緒に過ごしてみたいんだ。
リスクが何もないなら、余計に。
だって楽しい。面白そうだし。

「あー、でも…」

でも、セリフが思いつかない。
やっぱりやめとこうかな。絶対そっちのが楽だし。
それに、今まで散々平凡平凡言っといて、こんなところでそのコンセプトを壊すのはいかがなものか。
うーん、微妙だ。

「んー…、あー…」

でも惹かれるんだよなぁ。
あー、どうしよう。
もうこの問題は放棄しようか。

「しないでよ、放棄」

「………………え？」

「ん？」

「………幸村君？」

「何？」

突然声をかけられて、横を向くと幸村君。
え、何で屋上に。いつから。それより、何で。
私心の中だけで喋ってたのに。

「な、何でここに…。ていうか、何でその話…」

「だってA、口に出してるから」

「…嘘だ」

「それより、そう思っててくれたなら早く言ってほしかったな」

「え、」

「これでAは晴れて正式なマネージャーになれたわけだね」

「あ、いや、」

「そうと決まったら、早速皆に報告しないと」

幸村君はこの上なく楽しそうな笑顔で、屋上から出て行った。
なんか、何故か腑に落ちないのは気のせいだろうか。
すると、幸村君が戻ってきた。

「部活、今日の放課後から来てね。絶対」

ああ、急にやめたくなってきた。