少女Aの日常 in立海 (ページ20)

今日:13 hit、昨日:2 hit、合計:95,938 hit

第１９話　　初めて反対された…！(嬉ページ20

「偉いね、ちゃんと待ってたんだ」

「…仁王君に奢ってもらうからね。だからもう帰っていいかな」

「ダメ。皆に紹介するために呼んだんだから」

「帰る」

「ダメだって」

部活が終わるまで待っていた私は、ここにきてようやく、連れてこられた理由を知った。
何だそれ、やっぱ帰ればよかった。
幸村君は、私の首根っこを掴んで言った。

「皆、聞いて。この子が新しいマネージャーだよ」

「何勝手にマネージャーにしてんだよ違うわボケ」

「え？」

「……ごめんなさい」

くっそこんにゃろ、幸村君なんか嫌いだ。怖いんだよ、魔王様め。
しかしそんなことは言わない。
言えないんじゃない、言わないんだ。

「工藤さん、マネージャーになってくれたんですね」

「……柳生君、なってないからね」

「む。お前がマネージャーか。自分で立て！たるんどる！」

「……マネージャーじゃない上に、無理やり掴まれてんのがわかんないのかな、おじさん」

「お、おじっ…！？」

皆が一斉に吹き出す。
…ああ、この人って、確か副部長なんだっけ。老け顔の。
同い年とか、全然見えないんですけど。
その時、部室に一人の声が響いた。

「俺は認めねーっスよ」

「え？」

声のした方を見ると、そこにいたのはモジャモジャ頭の男の子。
確か、あれだ。二年生エースの切原君だ。
柳君が冷静に声をかける。

「どうした、赤也。何をそんなにムキになる」

「先輩達は騙されてるんスよ！女なんか皆ミーハーなんだ！」

「おいおい、Aはミーハーなんかじゃねーって」

「そうじゃよ」

「だから、騙されてるんス！」

周りが宥める中、切原君は一人声を荒げる。
へぇ、私って皆のこと騙してたんだ。初めて知ったよ。

「俺は絶対認めねー！」

切原君は、そう怒鳴って出て行った。
幸村君が申し訳なさそうに言う。

「ごめんねA、赤也にはよく言って聞かせるから…」

「え、全然いいよ。切原君いい子だね」

「え？」

「私がマネージャーになること、初めて反対された」

「…だからそんなに嬉しそうなんだ…」

「うん。じゃあ私は帰る」

ぴょん、と幸村君の手から飛び降りて、仁王君の手を取る。
仁王君は、何故かものすごく驚いた顔をした。

「…仁王君、帰るよ」

「お、おん。お前さん、手…」

「…早くしてよ。コンビニで、チョコとアイスとプリンとヨーグルトとケーキとお饅頭買うんだから」

「は、そんなに!?」