〈終〉９５話 約束の日 [二宮] ページ21
―８日後。
潤「ほんっとにさぁ、冗談も大概にしてよね」
相葉「ごめんって〜。だってプリンでそんな怒ると思わなかったんだもん」
潤「ハ？」
でっかいスカルがついたソファーの上に
不機嫌そうにそっぽ向いて座る潤くんと
その下のモフモフした絨毯に膝をつく相葉さん。
二人のやりとりを遠巻きに見ながら
下界の様子が覗ける穴の前に
ちょこんと椅子を置いて座る大野さんのそばに寄る。
「何か、見えますか？」
智「…べつに」
「出た、エリカ様」
智「え？」
「…なにしてっかな」
智「エリカ様…？」
「ちげえわバカ(笑)」
軽く突っ込むと、
何も言わずに二人で穴の中に目をやった。
「今日なんでしょ？」
智「うん」
「…どっち？」
智「え？…何が」
「戻ってきて、欲しい？それとも…」
智「…どっちかな。俺もよく、わかんねえや」
「…そっか」
翔ちゃんとの時間は
長かったような、短かったような
なんだか今もまだ続いてるような
そんな気がする。
智「…お前次の仕事入ってんじゃないの？」
「うん」
智「…行ってこいよ。怒られっぞ」
「そうね」
もう少しだけ
翔ちゃんを待っていたくて。
どっちかわからないって言ったけど
たぶん俺も大野さんも
心の中では願ってた。
早く帰ってこいって、願ってた。
相葉「わかったよ。新しいの買ってくるって」
潤「もういい。買ってこなくていい」
相葉「えーどっち。いいの？」
まだプリンで揉めてた二人が
同時にふっと時計を見上げる。
相葉「…遅いね」
潤「うん…」
死神界の時間は、下界よりもずっと早く進む。
４人とも、しばらくすると口をつぐんだ。
「俺、…仕事行ってくるかな」
ゆらりと立ち上がると目を上げて俺を見た大野さん。
智「行くの？」
「うん」
智「…そう」
その肩にそっと手を置く。
「先に会ったら、よろしくね」
智「…会えるかな…」
「え？……そりゃ会えるよ」
泣きそうになって、無愛想になった声。
バサリと翼を広げると黒い羽が何枚か散った。
あの一週間
翔ちゃんだけに見えてた俺たちは
翔ちゃんだけを、見てたと思う。
「ただいま」って掠れたあの声を
今日が終わるまで信じよう。
翔ちゃんの帰ってくる場所は、ここだ。
それまで話の結末は
誰も知らない…ってなことで。
完
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あかり - ぜひ見させていただきます！！ (2015年8月9日 21時) (
レス) id: 1ac7fc90e9 (このIDを非表示/違反報告)
ふみちゃん(プロフ) - あかりさん» そう言っていただけると本当に嬉しいです！よければ他の作品もよろしくお願いします。 (2015年8月9日 20時) (レス) id: f36ed0f5f4 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - とてもおもしろかったです！完結おめでとうございます((o(*>ω<*)o)) (2015年8月5日 21時) (レス) id: 1ac7fc90e9 (このIDを非表示/違反報告)
ふみちゃん(プロフ) - 花夜さん» 花夜さん、ありがとうございます。今後の励みになります♪ (2015年7月30日 22時) (レス) id: f36ed0f5f4 (このIDを非表示/違反報告)
花夜 - 凄く面白いです!!! (2015年7月27日 15時) (レス) id: 7e159a367e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふみちゃん | 作成日時：2015年5月20日 17時
