９０話 翔くん [松本] ページ16
縁側に、見えないように３人小さく固まって座って
暗闇にぼんやり浮かぶ翔くんとリーダーの姿を見ていた。
ニノ「…ずっと笑ってたよね。今日までさ、…ずっと」
相葉「ほんとは辛かっただろうにね…」
うん。そうだと思うよ。
でも辛いと人は、かえってさ、笑おうとするから。
翔くんは、そうゆう人だと思うから。
リーダーの手を引いてゆっくり歩き出した翔くんは
最後の最後まで
悔しくなるくらい格好良い。
俺はそんな風に自分の死を受け入れられなかった。
自分がもうすぐ死ぬってことを、信じられなかったよ。
だからあの日
みんなで翔くんを信じ込ませようと馬鹿なことやってんの、
本当は
そんな簡単にいくものじゃないよって、冷めた目で眺めてた。
でも翔くんは
ちゃんとそれを理解して
ちゃんと終われるように、彼女にも会いに行って
ニノのことも救ってくれた。
相葉君の隣でもう見えなくなった翔くんの背中を
消えていった場所を、いつまでもじっと見つめているニノ。
すーっと瞳に涙が滲むのを見て
たまらずその頭をグっと抱き寄せた。
「ほんっと……やせ我慢ばっかしてたよね、翔くんは」
ニノ「……ぽっちゃりなくせにね。」
相葉「………ッ…翔ちゃん」
立ち上がって、ダッと駆け出そうとした相葉君の手を
ニノが引き止める。
ニノ「…ダメだから…。リーダーに、任せようよ…相葉さん…」
相葉「…」
ニノ「大丈夫だよ。翔ちゃん、だって…相葉さんといる時１番楽しそうだった」
ニノの手が相葉君の腕を滑り落ちていって
甲にそっと重なった。
ニノ「だってすげえ笑うんだもん。分かるよ…あなたは本当に気を遣う人だから…いっつもバカなこと言って…俺たちも、翔ちゃんも、ずっと助けられてたんだよ」
…ね？って俺を見上げたニノに、微笑みながら頷いた。
相葉君が静かにしゃがむ。
相葉「…別に気ぃ遣ったわけじゃ、ねーし。ただほんとに、翔ちゃんといると…楽しかっただけ」
ニノ「…うん。…そうだね…」
相葉「気ぃ遣うの、翔ちゃんの方だったよ。買い出し行った時だってさ、周りのこと、ぜんっぜん気にしないの。
俺のこと……見えちゃうって…(笑)」
ぼんやりとまだ、翔くんの気配が残る暗闇を見て
翔くんと過ごしたこの家で
３人で、静かに笑った。
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あかり - ぜひ見させていただきます！！ (2015年8月9日 21時) (
レス) id: 1ac7fc90e9 (このIDを非表示/違反報告)
ふみちゃん(プロフ) - あかりさん» そう言っていただけると本当に嬉しいです！よければ他の作品もよろしくお願いします。 (2015年8月9日 20時) (レス) id: f36ed0f5f4 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - とてもおもしろかったです！完結おめでとうございます((o(*>ω<*)o)) (2015年8月5日 21時) (レス) id: 1ac7fc90e9 (このIDを非表示/違反報告)
ふみちゃん(プロフ) - 花夜さん» 花夜さん、ありがとうございます。今後の励みになります♪ (2015年7月30日 22時) (レス) id: f36ed0f5f4 (このIDを非表示/違反報告)
花夜 - 凄く面白いです!!! (2015年7月27日 15時) (レス) id: 7e159a367e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふみちゃん | 作成日時：2015年5月20日 17時
