酔っ払い �� ページ48
Side yellow
「ん、ちょ、りょっ…」
「んー？」
二人のときか、こうした飲みの場でしか素直に甘えられへん俺の天邪鬼を許してくれるから、
「あー、ほんま可愛い…むっちゃ好きやねんで…？」
「んんっ、もう何回も聞いたってば…」
こんな風に、トイレ行くんフラフラやからついてきて〜？って可愛い顔して言うて、二人っきりになって。
ギュってしたら止まらへんくて、いわゆる壁ドンしたら顔真っ赤にしてるんがまた可愛いねんもん。むっちゃチューしたよ。
「も、わかった！わかったからおしまい！」
「いーや、分かってへん。俺むっちゃ好きなん知らへんやろ」
「それはりょーがいつもツンツンしてっ…」
「やから今、こうやってしてるんやんか。んふふ、目うるうるしてる」
俺もAもまあまあ飲んだからなあ。
俺はまだ飲めるけど、Aは結構きてるみたいやから抵抗するんもチカラ入ってへんし。
…昔はこんな風に、一緒に酒飲めるなんて思わへんかったなあ。
「…Aふらふらやんか。おんぶしたろか？」
「…いい、恥ずかしい…」
「なにが恥ずかしいんよ」
「…りょー、酔ってへんやろ」
「あ、バレたあ(笑)ほんならほら、手つなご？それやったらええやろ？」
「ん、つなぐ…」
ギュってつなぐ手。
ちっちゃい手。
指絡ませたら、下から恥ずかしそうに悔しそうに、睨んでくるから俺の頬はまた緩む。
「好き？」
「…ん、なにが」
「俺んこと」
「…」
「ん？」
「……すき」
「ん、知ってる(笑)」
「もう嫌や！ついたから手離して！」
「ええ〜？」
こんなときしか素直に「好き」とか言われへんし
チューもギューも手つなぐんも、みんなの前じゃなかなかできひんけど。
…俺、お前が思ってる以上にお前んこと大事やねんで。言わへんけど。
「ほんなら最後にもっかい」
「んんっ…」
「…ふは、愛してるで？A」
頼りなかった背中はもう、そんな要素はなくて
真っ直ぐな目は昔からおんなじ
昔できた古傷が残ってるんも、俺にはめちゃくちゃカッコよく見えてた。
負けへんから、負けんなよ。
なんかあったら黙って背中預けにきたらええねん。
今までずっと、そうしてたように。
「…りょー、」
「うん？」
「…私酔ってるから、」
「うん」
「…あいしてる」
「…うん」
俺は酔ってへんから、ぜったい忘れてやらへんぞ。
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作者名：petrichor | 作成日時：2020年3月9日 11時
