Bon voyage （∞） (ページ26)

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嫌や ④ ページ26

Side orange

おひとりさまのコーナーは、基本夜中ロケオンリー。やから僕らは今まで、ぜったいに避けてきたことがある。

「…頼むで、マル」

「見えたらあかんもん見えても知らんフリせえよ」

「Aビビリやからな」

「あー！あかん！」

「ラジオ集中でけへん…」

それはAを夜中のロケに連れ出すこと。
スタッフさんや僕がおるからって、最少人数で行動するぶん危険はある。それに彼女は亮ちゃんとおんなじでビビリやねん。

…ほら、僕一回だけ見えてるからさあ。

「終わったら連絡して。迎え行くしそんまま泊まれや」

「何時なるか分からへんよ？ええの？」

「ええよ。あとこれ、」

「んふ、ありがとう」

こっちでは亮ちゃんがメタメタに甘やかしてるし、お守り代わりにキャップ被せてタレ目になってる。

…ほんで、いざ始まった収録。

「Aあかんよ！そっち危ない！」

「え？！Aどこ行って…あああ！」

「もう！お願いやから僕と一緒におって！いい？！」

好奇心旺盛なところプラス、猫気質が顔を出してあちこち行くねん。Aチャン。

なあんでそんなに目キラキラさせるんよ～！可愛いけど！あかんの！危ないことはあかん！

「A、」

「わ、ビックリしたあ」

もう何度目か。捕まえて引き寄せて、今度はしっかり手を繋ぐ。男前フェイスに弱いことは知ってるねん。

「…僕と一緒におって？」

暗いから、危ないから、そういう理由を並べたら「マルちゃんもおんなじやんか」って言うやろうし。

僕らのこと大事にしてくれてるのは毎日、感じてる。

「暗いし怖いから、Aが一緒におってくれたら心強いねん。やから手繋いどって？いい？」

「…ん、任せて！」

「ふふ、可愛い♡」

収録が終わる頃、現場に亮ちゃんが迎えに来てた話はeighterの間でも有名になったよ。