Bon voyage （∞） (ページ24)

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嫌や ② ページ24

Side red

昔のハナシやねんけど、尖ってて調子乗ってたガキんとき。キャーキャー言われて自惚れてた。

Aはまだ、我慢強くて
悔しそうな顔は見せてくれるようなったけど
泣き顔や文句や弱音はまったくで。

そら、オトコばっかりの世界で簡単に見せてたまるか、思うわなあ。

「別れた方がええと思う」

「は？」

ある日、俺にそう言ったA。
求めんでも寄ってくるオンナから選んで、彼女なんか作ってを繰り返してた。

俺はムシャクシャして、

「俺かて選ぶ権利あるわ」

「傷つくからやめた方がええよ」

「お前に何がわかんねん」

こいつは分かっててん。
俺の名前が売れ始めたから、それに自尊心を満たすために寄ってきてるオンナばっかりやってことを。

うまいこと言われへんかったんやと思う。

「心配せんでもお前で遊んだりせんわ」

「そういうことちゃうくて、」

「放っとけやめんどいオンナやな」

アホな俺は、傷つけて

「オンナやからって見下すんやめて。それに私のこと選んでほしいなんて言うてへん」

「ほななんやねん」

自分が良ければ、それで良くて

「すばるくんがやっとの思いで手に入れたもん、そんな簡単に他人のモノにしたらあかん。ましてや自分を飾る道具にされるのはもっと、」

そこまで言うたのに、何もなかったかのように踵返して帰ろうとするから

俺は慌ててその腕を掴んだ

「…」

浮かれてた
自覚したし、他に足つけて生きなあかん。

…こんな大事に思ってくれてるやつが近くにおるねんから。

「…離して」

「嫌や」

「なんでなん…」

「…俺がやっとの思いで手に入れたからや。お前やったら俺の地位も名誉も、ぜんぶやるわ」

そう言うたときのこいつの目、一生忘れられへん。