名も無き陰陽師【過去編】※微グロ注意 ページ9
「出でよ。式神...『酒呑童子』!!!」
「なっ...」
道磨が叫ぶと、その背後に現れたのは巨大な鬼。
その深緑色の屈強な身体を持つ鬼はかの源頼光に成敗されたはずの鬼の首領、酒呑童子であった。
「に、兄さん!!これは」
「フン。こんな事もあろうかと、独学で式神を取得した。お前が怠け、遊び呆けていた間も俺は努力し精進していたのだ。その結果を今宵見せる時が来たようだ」
黎磨は道磨の式神を見上げ瞳を揺るがせた。本来なら師である晴明に授かるはずの式神。
それを兄は独学で取得していたのだ。
しかも、よりによって悪名高いあの悪鬼酒呑童子を...。
「兄さん!いくら何でも危険だ!!」
「お前と俺は出来が違う。暴走を防ぐためコイツには黄泉の枷を嵌めてある。俺を侮るな」
「でもっ...」
「今のこの状況。俺が止めずに誰が止める?」
酒呑童子はぐるぐると獣のような唸り声を喉奥から上げていた。
両手両足の枷が鳴る。
少年もまた、そんな酒呑童子を睨みあげ唸り声を上げていた。
しかし、次の瞬間だった。
少年は目を見開き、ゴバァと音を立て吐血したのだ。
ボタタ。と尋常じゃない量の血液が地面を血の海へと変えてゆく。
「何!?」
少年はそのままゆらゆらと2、3歩揺らめいて、自分の血で作った血の海にばしゃりとその身を投げ出した。
それとほぼ同時に、蜘蛛の半身が煙を上げ始める。
現れたのは元々の少年の足。そしてドロドロに解けた蜘蛛の腹からゴロりと転がり落ちた複数の人間の髑髏。
あまりの光景に、その場で嘔吐する者も現れ
現場は騒然とし始める。
「な、何をしているのだ!!その化物を捕らえよ!!」
誰かの叫び声で、皆がハッと我に返った。
槍を構え、おののきながらも少年に近づいてゆく。
「ええい!!そのまま突け!!化物の息の根を止めろ!!」
戸惑う役人達を追い立てるように怒号が飛んだ。役人達は祟られるのではと躊躇したが、持っていた槍を一斉に振り上げる。
「やめろ!!!」
その時だった。それを制止する声とともに、少年に駆け寄ったのは...黎磨だった。
そのまま血の海に膝をつき、少年の様子を確かめる。
サッと少年の口元に耳を近づけて呼吸を確認すれば、彼はまだ小さく息をしていた。
「生きている...!誰か医師(くすし)殿を呼んでくれ!!」
そう叫ぶ黎磨に、皆は険しい表情を向けるだけで誰一人動こうとはしなかった。
元来、この少年は死ぬはずの罪人。そんな罪人のために医師を呼ぶなど出来るはずもない。
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愛鬼 - いやー面白いです(≧~≦))ププッ!続き気になる! (2018年1月19日 20時) (レス) id: 9f180f1a5a (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - wakaさん» わぁあ!!お久しぶりです(`;ω;´)長らく失踪してましてすみません(><)ずっと待っていただいたと嬉しいお言葉ありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年5月24日 14時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - ぼんさん、久しぶり...!!!この小説の、更新ずっと待ってました~…!!これからも更新頑張ってね!!応援してます...!!! (2017年5月23日 17時) (レス) id: 38ddde090e (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - ルキアさん» はじめまして!お返事遅れてしまい申し訳ございません(´;ω;`)ブワッ嬉しいお言葉ありがとうございます^^*これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2016年4月30日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» お久しぶりですー!コメントありがとうございますm(_ _)mそして返信が遅れてしまい申し訳ございません(´;ω;`)ブワッなんだかんだでかなりまったり更新で申し訳ないです(´・ω・`)これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2016年4月30日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぼん | 作成日時:2015年12月2日 1時