名も無き陰陽師【過去編】※微グロ注意 ページ8
処刑人を皆喰った。
人間の業じゃない。
ぐるぐると回るその言何より黎磨は急いで支度を整え表へと出た。
屋敷内に居た時よりも、一層騒がしさが身に染み渡る。
庭の隅に目をやれば、逃げ帰ってきたであろう兄弟子達が血塗れでガタガタと震えていた。
「どうされたのですか!?一体何が!!」
黎磨が兄弟子達に駆け寄れば、兄弟子達は怯えきった瞳を黎磨に向けた。
「れ、黎磨...」
「何があったのですか!!」
「ば、化物だ。アレは人なんかじゃない...人なんかじゃ無かったんだ...!!」
「...人じゃ、無かった?それは」
その時だった、響き渡る悲鳴。
黎磨はハッとしてそちらへ踵を翻した。
先程までのざわめきが嘘のように、そこは静かに緊張していた。
屋敷に面した路には、松明を持った役人や晴明の弟子達。
しかし、皆固まったまま動かない。
黎磨は辺りを見回し、道磨の姿を見つけた。
すぐにそちらに駆け寄って状況を聞こうにも
彼もまた皆と同じよう一点に視線を向け、動かない。
「兄さん...兄さん!!どうしたんだ!一体」
「黎磨、来るぞ...っ!!」
道磨が口を開いたのと同時に、黎磨に聞こえたのはズリリ、ズリリ。と何かを地面に引き摺るような音。それはゆっくりだが確実にこちらへと向かってきていた。
その音共に上がるのは悲鳴。それも徐々に迫ってくる。
「なっ...」
「...」
それは黎磨と道磨の前へ姿を現した。
全身に槍を受け、ボタボタと血を垂れ流す少年の瞳。それはギラギラとあの琥珀色に光っていた。その眼光を喩えるなら、まさに獲物を射抜く狩人。
フーフーと息を荒らげ食いしばった歯には、無かったはずの屈強な牙...。
それは人を喰った影響なのか、ぬらぬらと血にまみれていた。
何より、皆が顔を蒼くさせたのは
「く、蜘蛛だ」
「蜘蛛の化物だ!!!」
その半身が蜘蛛だということ。
周りが口々に叫んだ。
少年の半身は蜘蛛に成り果てていたのだ。ギチチと独特の音を立て動く八本の足。
ズリリと何かを擦る音は、ぷくりと膨れた蜘蛛の腹を擦る音だったのだ。
「に、兄さん...彼は何故!」
「分からない。あの時は何も感じなかったはず。死して妖に成り果てたかっ!」
道磨はその言葉が終わる前に地を蹴った。
そして形代を取り出すやいなや、変わり果てた少年の前へ立ちはだかる。
「貴様の相手はこの俺がしてやる。」
道磨はすっと形代を構えた。
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愛鬼 - いやー面白いです(≧~≦))ププッ!続き気になる! (2018年1月19日 20時) (レス) id: 9f180f1a5a (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - wakaさん» わぁあ!!お久しぶりです(`;ω;´)長らく失踪してましてすみません(><)ずっと待っていただいたと嬉しいお言葉ありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年5月24日 14時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - ぼんさん、久しぶり...!!!この小説の、更新ずっと待ってました~…!!これからも更新頑張ってね!!応援してます...!!! (2017年5月23日 17時) (レス) id: 38ddde090e (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - ルキアさん» はじめまして!お返事遅れてしまい申し訳ございません(´;ω;`)ブワッ嬉しいお言葉ありがとうございます^^*これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2016年4月30日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» お久しぶりですー!コメントありがとうございますm(_ _)mそして返信が遅れてしまい申し訳ございません(´;ω;`)ブワッなんだかんだでかなりまったり更新で申し訳ないです(´・ω・`)これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2016年4月30日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぼん | 作成日時:2015年12月2日 1時