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名も無き陰陽師【過去編】※微グロ注意 ページ7

黎磨は時々夢を見る。
それは、あまりに残酷な夢であった。
出てくるのは決まって女性と、二人の赤子。
その女性が母で、二人の赤子が自分達だということを黎磨はなんとなく解っていた。

晴明に助けられた時。自分達はあまりに幼く記憶がない。
実際、兄の道磨は晴明から話を聞くまで自分の過去の境遇を知らなかった。
しかし、黎磨は違った。
自分達がどのような境遇を経たのか全てを知っていた。それは彼自身が見る夢にあった。

毎度、鬱憤を晴らしにやってくる集落の民達に乱暴される母の姿。
それを見て泣きわめく赤子の時の自分と兄。
そんな自分達に浴びせられる、忌み子の罵声。
そんな自分と兄をボロボロになりながらも守る母の慈愛に満ちた温もり。

唯一。救われるのは...。夢であるはずなのに、その母の温もりを感じることが出来る事だった。

昼寝のつもりが、余程長く眠ってしまったのだろう。
黎磨が起き上がった時は暗く、縁側から見える空は薄らと星が瞬いていた。
京の都に夜がやってきたのだ。

「まいった。長く眠りすぎてしまった」

そんな独り言の後、ポリポリと小さく頭をかいたその時だった。
黎磨は慌ただしい外の雰囲気に気付いたのである。
その様子はただ事ではない。何が起きたのかと腰を上げたその時だった。
ドタドタとこちらに向かってくる足音。
現れたのは灯りを持った兄だった。

血相を変えた道磨の表情に、流石の黎磨にも緊張が走る。

「どうしたんだい!?兄さん!外の様子がおかしいけど」

「今しがた兄弟子達が帰って来た!どうやらあの土蜘蛛が処刑中に逃げ出したらしい!!」

それはあの罪人である少年の脱走を伝えるものだった。
酉の刻より始まった処刑は、最初こそ予定通り順調に進んでいった。
少年は完全に事切れるまで何度も槍で貫かれ、役人がその死を確認した直後に、事は起こった。
なんと、少年は息を吹き返し身体中に刺さった幾重の槍を諸共せず。自分を縛っていた縄をも引きちぎったと言う。

「しかも、奴は喰ったらしい...」

「喰っ、た?」

「処刑人を皆喰ったんだ!!」

処刑人を喰った。それは言葉通りの意味だった。
その光景は、まるで地獄絵図。兄弟子達はその光景に恐れおののき、式神を出して応戦することも忘れ逃げ帰ってきたのだという。

「人間の業じゃないッ!!奴は未だ捕まっていないんだ!晴明様も動き出している!お前もすぐに支度をして表にでろ!!」

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設定タグ:妖怪ウォッチ , 過去編 , 捏造   
作品ジャンル:アニメ
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愛鬼 - いやー面白いです(≧~≦))ププッ!続き気になる! (2018年1月19日 20時) (レス) id: 9f180f1a5a (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - wakaさん» わぁあ!!お久しぶりです(`;ω;´)長らく失踪してましてすみません(><)ずっと待っていただいたと嬉しいお言葉ありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年5月24日 14時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - ぼんさん、久しぶり...!!!この小説の、更新ずっと待ってました~…!!これからも更新頑張ってね!!応援してます...!!! (2017年5月23日 17時) (レス) id: 38ddde090e (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - ルキアさん» はじめまして!お返事遅れてしまい申し訳ございません(´;ω;`)ブワッ嬉しいお言葉ありがとうございます^^*これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2016年4月30日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» お久しぶりですー!コメントありがとうございますm(_ _)mそして返信が遅れてしまい申し訳ございません(´;ω;`)ブワッなんだかんだでかなりまったり更新で申し訳ないです(´・ω・`)これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2016年4月30日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぼん | 作成日時:2015年12月2日 1時

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