名も無き陰陽師【過去編】 ページ21
まだ母親が恋しい齢。次第に幼い晴明の心は病み、そしてその荒んだ心が牙を向けたのが
妖や異形の者に理解のない周りの人間達だった。
この頃、百鬼夜行と呼ばれる妖や異形の者達が人々を恐怖を与えていた。そんな風潮も手伝ってか一方的に妖や、異形。自分達と違う者を厄災の根源とし追放しようとする動きが活発になっていた。その影響で、晴明と父は村を転々としなければならず
父が病に伏せっても、妖怪と契った祟だ。自業自得だ。と誰も助けてはくれなかった。
晴明は唯一の肉親を失った。
「あの頃、私は幼くして両親を失った。荒みきった私の心は、周りの人間へと牙を向け始める。母と暮らせなかったのも、父が死んだのも…全て人間のせいだ。と」
「晴明様が、そんなお辛い幼少期を過ごしていたなんて…」
「その時より、母の血の影響か…私に宿った力はとても強いものだった。呪詛を吐けば人ひとり簡単に殺せるほどに…。そんな時だった。閻羅王に出会ったのは」
強大な力を誇示する晴明の存在を知り、閻羅王が直々に晴明の元へやって来る。
その時閻羅王は晴明にこう説いた。
憎しみは、憎しみしか産まない。
お前が人を憎めば憎むほど、お前の中に流れる血はどす黒く変色し、やがて醜い悪鬼と化すであろう。
葛の葉も泣いているぞ。
「閻羅王は、母に会わせて下さったのだ…。人の世があるように、妖の世もある。母はそんな妖の世でひっそりと罪悪感に否まれながら暮らしていた。母は私を忘れては居なかったよ。不思議なものだ。それだけであれだけ荒れていた私の心は刺が取れたかのように丸くなったのだ」
晴明は閻羅王の助言により、心を入れ替える。
これからはこの力を…人と妖の共存の為に使おうと。
それからしばらくして、晴明は心ある師に拾われた。そこで陰陽道を学び陰陽頭にまで上り詰めたのだった。
「閻羅王に出会わなければ、私は今頃。理性など無い醜い化物と成り果てていただろう。私がこうしてこの力を制し、人として生きられるのも閻羅王のおかげなのだ。あの童子が今後、人として生きるのか、妖として生きるのか。どちらにせよ閻羅王は必ずや彼を導いて下さる。」
「晴明様…」
「確かに百鬼夜行は、人々の驚異となる存在だ。だがしかし。それを生み出したのは人間の怨念…。あの童子を厄災とし、殺すのは至って簡単な事だ。しかし、それでは何も産まない…。やれるだけの事はしてやりたいと私は思っているんだ。」
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愛鬼 - いやー面白いです(≧~≦))ププッ!続き気になる! (2018年1月19日 20時) (レス) id: 9f180f1a5a (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - wakaさん» わぁあ!!お久しぶりです(`;ω;´)長らく失踪してましてすみません(><)ずっと待っていただいたと嬉しいお言葉ありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年5月24日 14時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - ぼんさん、久しぶり...!!!この小説の、更新ずっと待ってました~…!!これからも更新頑張ってね!!応援してます...!!! (2017年5月23日 17時) (レス) id: 38ddde090e (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - ルキアさん» はじめまして!お返事遅れてしまい申し訳ございません(´;ω;`)ブワッ嬉しいお言葉ありがとうございます^^*これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2016年4月30日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» お久しぶりですー!コメントありがとうございますm(_ _)mそして返信が遅れてしまい申し訳ございません(´;ω;`)ブワッなんだかんだでかなりまったり更新で申し訳ないです(´・ω・`)これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2016年4月30日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぼん | 作成日時:2015年12月2日 1時