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名も無き陰陽師【過去編】 ページ19

「友…か。吾には要らぬものだ」

「そうか。でも私には必要だ!なんせ、今まで友と呼べる者は居ないからな!!」

「…何なんだ、お前は」

ああ言えば、こう言う。黎磨の反応はつくづく少年を困らせた。
今まで、自分にこうして接するものがいなかった少年にとって実に難解極まりない。
反面、心のどこかで…その掛け合いが楽しいと思っている自分もいた。

「そうだ。今度一緒に蹴鞠をしないか?」

「しない」

「私はこう見えて蹴鞠が上手い!」

「話を聞かぬか」

我を貫き通す黎磨に少年は今日何度目かのため息を吐く。

「あ。そろそろ戻らないと晴明様に叱られる!次は鞠を持ってくるからな!」

「吾は、やるなんて一言も」

「それじゃあ!またな!」

とにかく話を聞かない黎磨はニッと笑って去っていった。そんな後ろ姿を唖然と眺め再びため息を吐く。

「友…」

それと共に呟いた言葉は誰もいなくなった空間に小さく染みるように消えてゆく。



「黎磨。」

「何でしょう?晴明様」

それは昼過ぎのこと。大学寮から帰った黎磨を晴明が呼び止めた。
くるりと振り返った黎磨に、晴明はニコリと微笑んだ後。
少しいいかな?と黎磨を庭園へと案内した。

庭園に植えられた桜や梅の木は、春になると見事な花を咲かせ皆を楽しませる。
その木々達の下を歩く晴明の後ろ姿を、黎磨はただ追った。

「黎磨。相も変わらずあの童子を気にかけているようだね」

「…はい。まさか、晴明様…」

黎磨は、ドキリとした。少年の今後が決まったのでは?と伺うように呟く。
そんな黎磨に、晴明はピタリと止まると振り返った。

「そんな顔をせずとも良い。あの童子の事は良い方向に考えている」

「良い、方向?」

晴明の言葉に、黎磨が目を見開けば
晴明はふわりと目を細めた。


「閻羅王!!!?」

「これ。声が大きいぞ黎磨」

「す、すみません。あの、閻羅王というのは…アレですよね?地獄の…」

晴明が、打ち出した少年の今後は何とも大胆なものだった。
閻羅王、又の名を閻魔大王。
地獄、冥府の王とされる存在だ。
晴明が提案するのは、その閻羅王にあの少年の審判をして貰おうというものだった。
人として生きるのか、妖として生きるのか…。
あの少年の全てを閻羅王に委ねる。というのだ。

「閻羅王は人の世でこそ恐ろしく語られるが、とても慈悲深いお方だ。あの少年にとって最良の道を示してくれると思っているんだよ」

晴明はフフッと笑って空を仰いだ。

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設定タグ:妖怪ウォッチ , 過去編 , 捏造   
作品ジャンル:アニメ
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愛鬼 - いやー面白いです(≧~≦))ププッ!続き気になる! (2018年1月19日 20時) (レス) id: 9f180f1a5a (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - wakaさん» わぁあ!!お久しぶりです(`;ω;´)長らく失踪してましてすみません(><)ずっと待っていただいたと嬉しいお言葉ありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年5月24日 14時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - ぼんさん、久しぶり...!!!この小説の、更新ずっと待ってました~…!!これからも更新頑張ってね!!応援してます...!!! (2017年5月23日 17時) (レス) id: 38ddde090e (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - ルキアさん» はじめまして!お返事遅れてしまい申し訳ございません(´;ω;`)ブワッ嬉しいお言葉ありがとうございます^^*これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2016年4月30日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» お久しぶりですー!コメントありがとうございますm(_ _)mそして返信が遅れてしまい申し訳ございません(´;ω;`)ブワッなんだかんだでかなりまったり更新で申し訳ないです(´・ω・`)これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2016年4月30日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぼん | 作成日時:2015年12月2日 1時

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