名も無き陰陽師【過去編】 ページ16
晴明の質問に、道磨はゴクリと生唾を飲み込み。ゆっくりと口を開いた。
「…半妖は短命と聞きます。しかしながら…妖の血が濃いものは…一定の年齢を過ぎると…」
…化物と化す…。
道磨の答えに、晴明は
流石だ。と頷きながら肯定した。
「八十女達一族の目的は、大妖土蜘蛛をこの世に復活させる事。つまり童子は生贄と同じ…。あの童子の人間としての人生は、処刑され一度幕を降ろしている…。そうなると、いつ童子の中の土蜘蛛が暴れ出すかは、私でも分からない」
晴明はそこで瞳を伏せた。
その先は言わなくても分かることだった。
つまり、少年が"まだ人間"の内に…殺し封じてしまうのが得策…。
「…早い方が、良いと思います」
道磨がぽそりと呟いた。その時だった。
今まで黙って話を聞いていた黎磨が口を開いたのだ。
「…あんまりだ」
「…なんだ黎磨」
「あんまりだ。と言ったんだ」
彼の幼い瞳には、確実に怒りが込められていて
晴明は何も言えなくなった。
少年を気にかけ、何かと世話を焼いていたのも晴明は知っていた。
そして、黎磨が何故少年を気にかけるのか…その理由も知っていたからだ。
黎磨は、少年に過去の自分の境遇を重ねていた。
黎磨が夢に見る自分達の過去は
異端だ、忌み子だ。等と罵声を浴びせられる…そんな過去だ。
黎磨が処刑場で少年を見たあの日。民から罵声を浴びせられるボロボロになった少年と、村民から罵声を浴びせられた過去の自分とを重ねたのだった。
「彼は人間だ」
「まだ言うか黎磨。アレは人間等ではない。晴明様が今仰られただろう。分からないのか?」
「ああ。分からない。彼はそれでも生きている。今現在生きているんだ。一族の勝手な都合で生れ落ちる前から呪を掛けられた彼は被害者だ。あんまりじゃないか。それじゃあ彼は化物という汚名を着せられる為に生まれて来たのか?…違う。彼を救う術は必ずあると私は思うんだ」
「…大馬鹿者!今回ばかりはお前のその下らない理想論は通らない!!勝手に喚く分には構わないが、都の未来が掛かっているんだぞ!!」
「じゃあ彼の未来はどうする!?彼が生まれた意味を探し、自分の存在そのものに葛藤しているのを私は知っている。そんな彼に、お前は作られた化物だ。死ね。とは言えない!!」
「黙れ!!化物は化物だ!そんなものの未来を何故考えなければならない!?まずすべき事は、この都で生きる民の暮しを守る事だ」
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愛鬼 - いやー面白いです(≧~≦))ププッ!続き気になる! (2018年1月19日 20時) (レス) id: 9f180f1a5a (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - wakaさん» わぁあ!!お久しぶりです(`;ω;´)長らく失踪してましてすみません(><)ずっと待っていただいたと嬉しいお言葉ありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年5月24日 14時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - ぼんさん、久しぶり...!!!この小説の、更新ずっと待ってました~…!!これからも更新頑張ってね!!応援してます...!!! (2017年5月23日 17時) (レス) id: 38ddde090e (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - ルキアさん» はじめまして!お返事遅れてしまい申し訳ございません(´;ω;`)ブワッ嬉しいお言葉ありがとうございます^^*これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2016年4月30日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» お久しぶりですー!コメントありがとうございますm(_ _)mそして返信が遅れてしまい申し訳ございません(´;ω;`)ブワッなんだかんだでかなりまったり更新で申し訳ないです(´・ω・`)これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2016年4月30日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぼん | 作成日時:2015年12月2日 1時