【妖怪ウォッチ】シャーマン少女と本家大将大ガマさん。part４

静かなる日常……がくると思っていたのか？ ページ4

「でけぇ声出すと、変な目で見られんぞー」

日頃の恨みを晴らそうとしてるのか、ヘンテコ男は意地悪く笑ってそう言った。
今すぐにでも怒鳴り散らして、世紀末百裂拳してやりたいところだがぐっと抑えて
瞳だけでヘンテコ男を睨みつけた。

「何しに来たのよ」

ぼそぼそっと、小さくそれでいて早口で喋る。
すると、ヘンテコ男はニッと笑って
いやぁ…。なんて意味深に呟いた。

「何よ。ほんとムカつくわね」

ドスの効いた声で低く呟けば、ヘンテコ男がスラリと視線を窓の外へ向けた。
何よその流し目。と思いつつヘンテコ男が視線を送る先に自身の視線を向ける。

そこから見えるのは、先程まで討論の中心だったあのポール。

「ん？」

目を凝らしてよーく見て、ハッとした。
ポールのそばに何かが立っている。
しかし、人間じゃないのは明白で
うようよ蠢く黒い塊。それが人の形になってゆらゆらと揺れるように立っていた。
なるほど、あれが噂のポール幽霊の正体か。

「見えたか？」

先程までとは違ったヘンテコ男の真面目な声音。

「……ええ。見えてるわよ。キモイやつがね」

「ここに来たのは暇つぶしじゃねぇ。妙な胸騒ぎがしてな。」

ヘンテコ男は私に真剣な眼差しを向けている。
なんだ、心配してくれてんのか。そりゃどうも。とアイコンタクトで返してみた。

「……悪いけど、アレからは全くと言って恐怖も何も感じないわね」

私はヘンテコ男から教科書に視線を移してぽそりと呟く。
確に蠢いてて気持ち悪いが、あのリアルバイオハザードのような悪意は感じない。
ぶっちゃけ、今の私ならぶっ倒せる気がしてくるほどだ。
あの修行は伊達ではなかったと痛感すると共に
、なんかそんな事を思う自分を否定したくもなる。

「俺の取り越し苦労ならいいが、油断すんなよ？」

「……」

「俺の勘は、何でか知らねぇが昔からよく当たんだよ。爺さんの修行は伊達じゃねぇだろうが、何かあってからじゃおせぇからな」

ヘンテコ男は見えない事をいい事に、斜め前の席の山田くんの机に腰を下ろしていた。
何様だ、お前。山田くんに謝れよ。

「じゃあ何？アレはヤバイもんだって言うの？」

「いや、はっきりいって低級霊もいいとこ。ど低級霊だ。でも、実体がなく影だけってトコが妙に引っかかる。」

ヘンテコ男は顎に手を添え、考える人みたいなポーズで唸る。
なんでもいいから、山田くんの席から降りろよ。

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