蜘蛛の窖 ページ30
「...は?」
思わず間抜けな返事をしてしまった。
だって、いきなり手を取られて幾千の時をどーたらとか言われたら
きっと誰でも、は?ってなると思う。
というか、なんで私の苗字知ってんの?怖いんですけど...。
もしかしてこの人。真面目そうに見えるけど厨二病ストーカーなのかな?と不安げに見上げていれば、先程のタイキックでケツを破壊してやったはずのヘンテコ男が私達の間に割って入ってきた。
「おいおい。土蜘蛛さんよ!レディを口説くのにそりゃあないと思うぜ?」
「お主と一緒にするでない。この破廉恥蝦蟇め。...して。何故お主が御神の人間と共に居るのだ」
土蜘蛛さんの質問にヘンテコ男は目を丸くした後、あー。と声を上げて締りのない笑顔を見せた。
「助けてもらった恩返し。ほら、俺義理堅い男だし!」
「恩、返し。か」
土蜘蛛さんはそう呟いた後で再び私に視線を移してくる。その顔は先程の顔とは打って変わって真剣な面持ちだった。
ジィっと眺めた後で小さくため息をついた土蜘蛛さんがそれ混じりでボソリと呟く。
「なるほど。言われてみれば...だが。お主...」
土蜘蛛さんがそう言った瞬間。
素早くヘンテコ男が彼の肩を掴んだのだ。
いきなりのことで驚きのあまり目を見ひらく。
「土蜘蛛さんよ。よそうぜ?今は関係ねぇんだから」
「...そうであったな。」
ヘンテコ男の声は、いつぞやに聞いた時の低い低い声だった。でもそこに含まれていたのは殺意じゃない。
小さく私に視線を移したヘンテコ男の瞳に、私は背筋にゾクリとした感覚を覚えた。
悲壮、戸惑い、そして背徳。
どれとも言えない感情がヘンテコ男の瞳、そしてその低い声に含まれていたから。
いつも、楽天的でヘラヘラとした奴のこんな目を、私は見た事がない。
同時に、コイツは私に何を隠しているのか。という疑問がより濃く落とされる。
しかしそれは不思議なことに、不信感というものにはならなかった。
それは一瞬で、次の瞬間にはいつものヘンテコ男に戻っていて
なんだよその顔!と言いながら私の頭をぐしゃぐしゃ撫でる。
反射的に、ケツにタイキックしてしまった。
2回目のタイキックにケツを押さえ悶絶するヘンテコ男は、何一つ変わらない。
私の知ってるヘンテコ男だ。
あの瞳の理由を知ってはいけない。知る必要も無い。
私は何故かそう思ったんだ。
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ぼん(プロフ) - よもぎたん(´ω`*/)さん» こんばんわ!ありがとうございます!お名前変えたんですね^^*もしかして前もコメント下さったよもぎたんさんだったのですか!?←違ったらすみませんッカッパー回やっとこ見れました!俺のことディスってんの?でキュン玉持ってかれてしまいましたよ(*´Д`*)オチツケ (2015年12月2日 2時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - ナッツ@まだ新年じゃないけど頭の中はHappy Newyearさん» こんばんわ^^*ありがとうございますー!そうなんです^^;私自身続くのか!と驚いていまして←妄想小説がここまで続けられるのも皆様のおかげだと思ってます!過去編もよろしくお願いしますm(_ _)m (2015年12月2日 2時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎたん(´ω`*/) - 続編おめでとうございますっ!元ノアです!名前変更しました!(^_^)/これからも頑張って下さいね!あ、あと次のへんじの時にカッパーの回見れたか教えて下さい!! (2015年12月1日 19時) (レス) id: 594dce396d (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ@まだ新年じゃないけど頭の中はHappy Newyear - 続編おめでとうございます!このシリーズ長くなりそうですね、part4ができた時コメしそびれました(^^|||それでは過去編頑張ってください!!!(*´∀`)ノシ (2015年12月1日 17時) (レス) id: b77eab5f4a (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - ロキさん» こんにちわ!はじめまして^^*コメントありがとうございます!過去編頑張って更新して参りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2015年12月1日 17時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぼん | 作成日時:2015年11月7日 1時