魍魎の蠢 ページ13
化け乳女の表情は凍りついていた。これは予想外の展開だったんだろう。
まるでリアルバイオハザードの海に爆弾が落ちた後のように、そこだけポッカリと道が出来上がる。
一番驚いているのは私自身だが、これで黒い影までの道が開けた。何が起きたか知らないけれど、好都合。私は影に向かって地を蹴った。
「待ちなさい!!クソッ」
どうやら、チチ女はリアルバイオハザードを生産するのに手間取っているよう。
あれだけの量を一気に消されたのだ。それを補うだけの量を再び生産するのにはしばらくかかるのだろう。そんなチチ女を待つ理由なんて何処にもない。
「フミカちゃんを、離しなさいよ!!!」
先程の要領で、影に向かい掌打を繰り出す。
あの爆発を再び起こせれば、この巨大な影もタダじゃ済まないはずだ。
「かじってまもないのに、見事な霊力操作だね。でもまだ操りきれてないのが残念だよ」
ボソリ。と影のそばに立っていた少年が呟いた。そちらを睨んだのと同時に繰り出した私の掌に虫が這う様な感覚。ハッとそちらに視線を戻せば
キキッ、ギィ、イィ!!と受話器から聞こえたあの不快な音声。
その音声と這う様な感覚の正体は、私の腕を今にも飲み込もうとする無数の魍魎だった。
授業中、影から何も感じなかったのも
ヘンテコ男が気にしていた、実体がない影だけなのも……。
すべてこの時理解した。
そこで、少年がニヤリとわらって口を開く。
「この影はね、姿形ない魍魎の集まりさ。1匹辺りの力が弱いクズも、集まればこうにも強大なモノへ姿を変える。」
「ッ!!」
「魍魎は便利でいい。霊力さえ与えればいくらでもその姿を変えることが出来るからね。凄いよ君の友達。ただの人間の癖にこいつらをここまで大きくしたんだから。」
「なっ……」
「…魍魎のいい餌になったよ。この子の霊力を嗅ぎつけて、魍魎が面白いほど集まってくるんだ。いたいけで純粋な女の子供の霊力は、こういったクズ達にとってご馳走だからね。にひひ」
この影をここまで巨大にしたのは、フミカちゃんだと。少年は楽しそうに笑いながら言った。
ふと、影の口に取り込まれたフミカちゃんを見上げれば先程より顔色が悪い。
このままじゃ……。最悪のパターンが頭をよぎる。
「あんたっ……」
「返して欲しい?あの子のこと。じゃあもう一度聞くよ。身を呈して僕に協力しろ」
「っふざけんじゃないわよ!!こんなもん、ぶっ壊してやるわ!!」
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ぼん(プロフ) - よもぎたん(´ω`*/)さん» こんばんわ!ありがとうございます!お名前変えたんですね^^*もしかして前もコメント下さったよもぎたんさんだったのですか!?←違ったらすみませんッカッパー回やっとこ見れました!俺のことディスってんの?でキュン玉持ってかれてしまいましたよ(*´Д`*)オチツケ (2015年12月2日 2時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - ナッツ@まだ新年じゃないけど頭の中はHappy Newyearさん» こんばんわ^^*ありがとうございますー!そうなんです^^;私自身続くのか!と驚いていまして←妄想小説がここまで続けられるのも皆様のおかげだと思ってます!過去編もよろしくお願いしますm(_ _)m (2015年12月2日 2時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎたん(´ω`*/) - 続編おめでとうございますっ!元ノアです!名前変更しました!(^_^)/これからも頑張って下さいね!あ、あと次のへんじの時にカッパーの回見れたか教えて下さい!! (2015年12月1日 19時) (レス) id: 594dce396d (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ@まだ新年じゃないけど頭の中はHappy Newyear - 続編おめでとうございます!このシリーズ長くなりそうですね、part4ができた時コメしそびれました(^^|||それでは過去編頑張ってください!!!(*´∀`)ノシ (2015年12月1日 17時) (レス) id: b77eab5f4a (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - ロキさん» こんにちわ!はじめまして^^*コメントありがとうございます!過去編頑張って更新して参りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2015年12月1日 17時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぼん | 作成日時:2015年11月7日 1時